「織姫ちゃん、今日もかわええな〜」
「あ、市丸さん!こんにちはー」

織姫が虚夜宮に連れてこられてから数ヶ月経った。だいぶ慣れたのか、ギンの褒め言葉も、さらっと受け流すということを覚えた。今では破面であるグリムジョーやノイトラとも打ち解け、よく話す。しかし一番仲がいいのは、市丸ギンである。Sな面もあるが、織姫が困っているとすぐに助けてくれる。

「昨日はお菓子ありがとうございました。すごくおいしかったです」
「ほなら良かったわ」

織姫が笑顔でお礼を言うと、ギンも微笑み返す。少し言葉を交わした後2人はそれぞれの目的の場所へ歩き出した。しかしギンは立ち止まり、織姫の名前を呼ぶ。

「織姫ちゃん、後でお菓子一緒に食べへん?」
「…はい!」

一瞬驚いた顔をした織姫だが、すぐに満面の笑みで答えた。独り占めしたくなるような、可愛らしい笑顔にギンは見惚れる。だがすぐにいつもの笑顔を浮かべ、織姫と別れ藍染の下へと向かって歩き出す。織姫と別れた後も、ギンの頬は緩んだままであった。先ほどの織姫の笑顔が頭から離れない。


「…あかんわ。重症や」

そう呟くギンの後ろから、聞きなれた低い声が聞こえた。

「何が重症なんだい、ギン」
「藍染隊長、分かってるくせにそんなこと聞くなんて意地悪いんとちゃいます?」
「ふふっ。さて、何のことかな」

優しい笑みを浮かべて藍染は自室へ入っていく。ギンは一言、侮れんわと呟き藍染の後を追って部屋に入った。


恋の病に掛かってしまった


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