▽織姫視点

「恋、次君?」

突然視界が暗くなったと思ったら、恋次君が私を抱きしめていた。あまりにも突然すぎて今の状況を理解するのに数秒掛かってしまった。恋次くんは、何も言わずただ抱きしめるだけ。だから、私も黙って動かずにいた。

「井上、俺、俺は」

何か言おうとしているのに途切れ途切れで、上手く聞き取れない。でも一生懸命伝えようとしてくれているのは分かる。私は耳を傾け恋次君の次の言葉を待った。

「俺は、お前を誰にも渡したくねぇ。石田にも、一護にも、だ」

真剣な瞳でそう言う彼は、少しだけ瞳が不安に揺れていた。捨てられた子犬のようにさえ、見えてきた。彼がどうしようもないくらい愛しく感じた。

「うん、じゃあ一生恋次君の傍にいさせて下さい」
「…いいのか?」

恋次君がそう言うから私は、女の子に同じ事言わせちゃ駄目ですぞ!
と笑いかけた。そうすると彼もそうだよな、と笑った。


好きだから嫉妬する


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