「恋したことある?」と渋谷に聞かれたとき、春歌は何も答えられずアハハと笑ってごまかすことしかできなかった。渋谷が言うには恋することによって作曲にも変化がでると言う。でも春歌には気になる人なんていない。どうやって恋は始まるの、と聞けば「どうやってじゃなく自然と始まるものよ」と笑顔で答えた。
***「レディ、何か悩み事でもあるのかい?」
「あ、神宮寺さんこんにちは。…あの、実は恋について考えていたんです」
春歌が困ったように笑いながら言うと神宮寺は優しく微笑み隣の椅子に腰を下ろした。
「レディには気になる人でも?」と神宮寺が聞くと春歌は首を横に振る。全くいないんです、という春歌のため息交じりのその言葉を神宮寺は黙って聞いていた。
春歌は神宮寺に「恋ってそんなにいいものですか」と尋ねれば神宮寺は少し考えてから口を開いた。
「恋はいい面も悪い面もある。辛いことの方が多いかもしれない。でも、愛する人と一緒なら乗り越えられるものだ」
「そういうもの、ですか?」
「そういうものだよ。どうだい?俺と恋愛してみない?」
頬にキスをして、ウインクして見せたレンを真っ赤な顔で春歌は見つめた。まるでリンゴのような真っ赤になった頬に神宮寺はもう一度キスをした。
それなら俺と恋愛しませんか?(いちいち反応が可愛いね、レディは)
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