きみとの距離は遠くて、住んでいるところも遠くて、時々切なくなるんや、会いたくなるんや。そんなこと言うたら、君はきっと困るやろな。やから俺は言わない。


優しい音色が聴こえてくる。どうやら桜乃の携帯から聴こえているようだ。こんな朝早くに誰だろうと寝ぼけながらも耳に携帯を当てる。

「はい、もしもし」
「あ、桜乃ちゃん?元気にしとる?」
「白石さん!」

電話の相手は白石だった。白石の声は静かで辛そうだった。電話越しでも伝わってくるほど何に苦しんでいるのか。桜乃も胸が痛くなってきて落ち込んだ声になってしまう。

「何かあったんですか…?」
「いや、桜乃ちゃんが心配する必要はないで。俺は大丈夫や」

彼はハハッと笑って答えた。白石は何かを誤魔化している。でも桜乃はそれを言葉にして伝えることは無理だった。

「白石さん…」
「堪忍な。ちょっと桜乃ちゃんの声を聞きたくなっただけや。ほな、また」
「白石さん、何かあったら私に1番に相談してくださいね」
「…桜乃ちゃんは優しいんやな。有難うな」


∵弱虫な俺にも優しい君
(君に好きと言える勇気をください)



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