彼女があまりにも可愛い笑顔で「あーんして?」なんて言うから思わず食べてしまったのは、フォークに刺さっているケーキじゃなくて彼女の唇。甘くてやわらかい彼女の唇を十分堪能してから唇を離してみれば、彼女の頬は熟れた苺のように真っ赤に染まっていた。そして拗ねたように頬を膨らましてフォークに刺さっているケーキを食べる。そんな彼女が俺は好きだ。

ねえ、もう一回食べていい?そう聞けば彼女は更に頬を赤く染めてバカと言った。何で、そんなに可愛いんだよ。男を煽るだけだって、その顔は。そんなことも分かんないのかよ。

「泉君、何かいつもと違う…」

ポツリと彼女の呟きに俺はそう?と笑いながら答える。そんなこと言われてもこれが本当の俺だから仕方ない。篠岡が好きで好きで仕方ない、ただの男。普段我慢している分、二人きりのときくらいは篠岡を可愛がりたい。俺しか知らない篠岡をもっと見つけたい。あー…もう本当俺やばいかもしれない。篠岡のこと好きすぎる。

「篠岡、俺やばいかも」
「どうしたの?どっか、具合悪い?」
「んー…篠岡が足りない。もっともっと篠岡を近くで感じたい」

ボッと音がしそうなくらい篠岡は頬を赤く染めた。やっぱり可愛いと思いながら、俺はその唇にキスをした。


∵あーんして?
title by 待ってて神さま

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