皆篠岡に好意を寄せていることは分かっている。最初に比べてだいぶ打ち解け、俺たち西浦野球部は互いのことを理解し始めた。だけどいい事ばかりではなく、皆篠岡のことを女として見始めてしまった。

「篠岡、データサンキュー」

さり気なく阿部が篠岡の頭をくしゃくしゃとなでる。普段見せることのない表情…阿部の笑顔、なんて貴重なんだろう。それにしても、触りすぎ。いつまで頭撫でてんの…、篠岡も嬉しそうな顔しないでよ。

「しーのか!ポカリもうないぜ!」

あ、今度は田島が篠岡に抱きついた。いやいやこんなのん気に見てる場合じゃないだろ俺!彼女が抱きつかれてるのに、何やってるんだろ。いくら田島でも、今回ばかりは許せない。俺の彼女に触るな…って。

「篠岡〜」

水谷…おまえもか!もう我慢の限界。

「篠岡!」
「あ、え、栄口くん?ってきゃあ!」

篠岡の腕を引っ張って自分の腕の中に閉じ込める。皆口を空けてポカンとなっていて、その表情があまりにも間抜けで笑いそうになってしまった。篠岡にいたっては真っ赤になって俺の胸に顔を埋めていて、尋常じゃないくらい可愛い。

「篠岡に馴れ馴れしく触らないでくれる?」
「「…はい。すいません」」

意外にあっさり引いてくれて、少し驚いたけどこれで安心。篠岡に近づく男はいなくなった。でも篠岡の顔が怯えているように見えるのは何でかな?…まあ、いっか。


∵黒すぎる笑顔は危険です
(篠岡、俺のことだけ見てて?)
(う、うん…)

(さっきの栄口くんの笑顔が黒かったなんて言えないよ…)


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