その日は篠岡との初デートの日で、浮かれすぎていたのかもしれない。だからいつもより服装も気になったりして気づいたら待ち合わせ時間になっていた。やべぇ…もう15分も過ぎてる。篠岡のことだから待ち合わせの10分前には絶対に来ているから結構待たせてるな。あー本当急がねえと。

「どこだ、篠岡。もう来てる、は、ず…」
「ねえねえ君超可愛いねー。どこの学校?」
「やっべーまじ好みだー」
「あ、あの、私人と待ち合わせてるんです!」

なんだ、あいつら?いい度胸してんじゃねえか、人のもんに手出すなんて。でも篠岡に目をつけるなんて、見る目あるな。今日の篠岡は特別にかわいいし、まあ話しかけたくなるのも無理はない。でも俺のもんだから、譲らねえ。

「おい、お前ら篠岡に何の用だよ。こいつは俺のものだからやらねえぞ」
「…あ?ちっ…んだよ!男連れかよ」
「他行こうぜー」

ふざけんなよ。人のもんに手出しといてその言い草はなんだよ。篠岡のことをいやらしい目で見ていたと思うと本当にイラつく。

「大丈夫か?」
「あ、うん。ありがとう!阿部君!」

うっわ…本当かわいい。なんだこの笑顔、破壊力抜群じゃねえかちくしょう…。本当かわいいな…。ってそもそも俺が悪いだろ、俺が遅れて来なかったらこんなことにはならなかったんだ。

「わりい篠岡…。すげえ待たせただろ?それに…「ううん、大丈夫だよ!」

なんで文句一つ言わねえんだよ。本当は怒ってるんじゃねえの?篠岡はいつだってそうだ。文句一つ言わず、自分の意見も言わない。

「…俺、今日浮かれててさ、それで遅れた。ごめん…」
「ううん!本当大丈夫!だって、私も今日のデート嬉しくて服装とか気にしてたら遅くなっちゃって・・・着いたのついさっきだもん!」

え、篠岡も?俺と同じように今日のデート楽しみにしててくれた…?うわ、なんだこれ…すげえ嬉しいんだけど。やべえ、顔がにやけてくる。

「そ、そうか…。さんきゅ」
「ううん、私こそ。阿部君、行こっか」
「ああ、そうだな」

篠岡は手を差し伸べてきた。俺はその手を握りしめ、歩き始めた。


∵浮かれてたのは君も一緒


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