ミーンミーンミーン
「…………」
ミーンミーンミーンミーンミーン…
「……だぁあああ!五月蝿い!」
木陰でしばらく休んでいたブン太だったが、蝉の鳴き声に耐えられなくなったのか、蝉に怒鳴った。すぐさま、傍にいたジャッカルがブン太を宥める。
「お前、蝉に怒鳴っても何も意味ないだろ」
「だってよーそんなこと言ったって、蝉の鳴き声って五月蝿いし余計暑くなるじゃんよ」
彼はキッと蝉を睨みながら言った。かなり殺気立っている。
「こんなとき竜崎がいればな…」
(癒しの竜崎がいれば、ブン太も大人しくなるんだが)
そんなジャッカルのそんな願いが叶ったのか、タイミングよく桜乃がにっこり癒しの笑顔で登場した。とたんにブン太は笑顔になり、桜乃の元へ走っていく。そして勢いよく桜乃に抱きついた。バランスを崩して倒れる二人だが楽しそうに笑って久々の再会を喜ぶ。
「桜乃会いたかったぜぃ!」
「ふふっ…丸井さん元気ですね」
「俺はいつでも元気だし!!」
(嘘付け…お前さっきまで死んでたじゃねぇか)
呆れながらもジャッカルは2人を温かく見守っていた。2人の姿を見てると、ジャッカルも自然と笑顔になる。
「桜乃の傍ってなんか落ち着く」
「なんだか今日の丸井さんとても可愛いです」
「お前の方が可愛いっての!」
「え、あ、ありがとうございますっ」
「……」
「『お前ら2人が1番熱いわ』って思ったでしょ?」
「まぁ…当たりだな」
「ほんっとう、このクソ暑い中いい加減にして欲しいよね」
にこりと微笑みながらそう口にする幸村だが、目は笑っていなかった。
∵あついあついあつい!
》BACK