世の中には、可笑しなゲームもあるわけで。ポッキーゲームもその一つだと思う。前までは、そんなゲームくだらないしやる奴の考えが全く理解できなかった。でも今は、そんなゲームも気になってしまう。…それを一緒にやりたい相手がいるから。


「篠岡、明日練習休みだしうち来ねえ?」
「うん!行く!」

篠岡は俺の罠にハマったことには気づかず、嬉しそうに笑っている。その笑顔を見ると自分のしていることに後ろめたさを覚えたが、好奇心というか欲望には勝てるはずもなかった。俺自身、もう覚悟は決めていた。
時が経つのは早いもので、もう気づけば翌日になっていた。俺は朝から妙に緊張してしまい、いつもより念入りに部屋の掃除をした。

「あ、篠岡。俺の部屋に先行ってて」
「うん、分かった!」

篠岡は大きく頷くと、俺の部屋へと向かった。俺は2、3回深呼吸をしてから居間にあったポッキーとジュースを持って部屋へと足を運んだ。部屋のドアを開けると篠岡はニコニコと笑いながら待っていた。その姿があまりにも可愛くて、ふはっと笑ってしまった。

「はい、お菓子と飲み物。」
「わあ!ありがとう!私ポッキー好きなの!」
「…そか」

俺は緊張のあまり、それ以上の返事をすることはできなかった。でも篠岡とやってみたいという気持ちは強いようで、案外簡単に目的の言葉は発せられた。

「ポッキーゲームしようぜ」
「ふぁ、へ、え!?」
「ん、」

俺は篠岡の返事を聞かないまま、ポッキーをくわえて篠岡に近づいた。篠岡はこれでもかというぐらい真っ赤に顔を染めて、目を潤ませた。俺は更に距離をつめて、逃げれないように壁まで追い詰めた。篠岡は観念したのか、遠慮がちにくわえた。
唇と唇が触れ合いそう、というところでポッキーは折れた。篠岡の力によって。

「…篠岡?ここは空気読んでそのままキスだろうがよ」
「だ、だって恥ずかしいし」

篠岡はきつく目を瞑ってあけようとしない。…チャンスかも。俺は食べていたポッキーを飲み込んで、篠岡の唇に口付けた。篠岡は驚いて目をパチッと開けた。俺は篠岡の唇を十分味わってから、唇を離した。

「い、泉くん…っ!ポッキーゲーム関係ないよっ!」

篠岡は涙目でそう訴えてきた。…可愛い。

「確かにそう、かも」

俺は、そんな篠岡が可愛くて笑いながらそう答えた。篠岡はもう知らない、とそっぽ向いて拗ねてしまった。その姿に俺はまた笑ってしまった。


∵ポッキーゲーム?
(なかなか面白いじゃん)
(もう二度とやんないからね!)


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