今日は我らのマネジ、篠岡千代の誕生日。計画を始動しなければということで、俺達は篠岡がいない時を狙い計画を立てることに成功した。今回は、セカンドを守る栄口勇人目線で皆の様子を伝えようと思います。
「で、篠岡の欲しい物の探りは成功したのか?」
「それがね、欲しい物は?って聞いたらみんなと野球ができる体が欲しいって」
つまり、篠岡は男の体が欲しいと言っているわけで・・・俺達にしてみればそれは困るんだけど。でも篠岡は野球が大好きで大好きでいつも野球に恋をしていて、その願いをなんとか叶えてあげたいけど…到底俺達には無理な話であって。
「別に野球をやるのに女も男も関係ないだろ」
「うんうん!今の時代、女子野球チームあるもんね!」
水谷が嬉しそうに頷いたのを見て、俺も頷いた。確かにそうだ、女子だって野球できるんだよ。男しかやってはいけないなんて誰が決めた?そんなこと誰も決めてない。これでもう篠岡のプレゼントは決まったね。
「よし、今日の練習は早めに切り上げてもらおう。モモカンに理由を話せば分かってもらえる」
「「おう!」」
そのあとモモカンに理由を話すと喜んでOKを貰えた。モモカンも篠岡にはすごく感謝してるからこの話には大賛成なんだ。
「しのーか!はい、グローブ持って!んでマウンドに立って!」
「え、あ、えぇ?」
田島が何の説明もなしにグローブを渡すから篠岡が困ってる。そんな篠岡に花井がさり気なく説明をしてマウンドに行く様に指示してる。やっぱりキャプテンは花井しかいないよね。
「あの!立ったけどどうすればいいのー!」
「今から背番号順に俺達がバッターボックスに立つから投げてー!あと投げる前に俺達に1分くらい時間をくれ!」
「? わ、わかったー!」
一番最初に三橋が打つ。
「し、しのおかさ、ん!た、んじょうび、おめでと、う!いつも、あ、りがとう!」
篠岡はいつも大きくてクリッとしている瞳を更に大きく開いてびっくりしていた。その瞳は次第に潤んできてあっという間に涙がたまった。
カキーンと金属音がして三橋の打球はセンターに落ちた。
「篠岡、いつもありがとな!お前が作るデータは他の学校のマネジより絶対見やすいって俺が保証する!本当に感謝してる!誕生日おめでとう!」
いつもあまり喋らない阿部が大きな声で篠岡に感謝の言葉をのべる。俺達もびっくりしたし篠岡だってびっくりしている。涙がもうこぼれそうで…、そんな篠岡も可愛かった。
「篠岡誕生日おめでとう!いつも気が利いて優しい篠岡に感謝してるよ!これからは頑張りすぎないで俺達も頼ってよ!」
あ、ついに篠岡の瞳からは涙がこぼれた。でも篠岡は笑顔でキラキラと光って見えるくらい輝いていて、眩しかった。その篠岡の表情に俺達も満足だった。っと、次俺だ。
「篠岡誕生日おめでとう!他校のデータ集めとか解析とか大変なのにいつも笑顔で、すごく頑張ってると思う!絶対甲子園連れてく!」
俺結構すごいこと言ったかもしれない。甲子園とか…でも篠岡の笑顔が見たいし今年の目標にしよう。篠岡もうんって頷いてくれたし、このメンバーなら絶対行ける。
俺は篠岡の投げたボールを右に打った。
「しのーか誕生日おめでとう!俺しのーかの握ってくれるおにぎり大好き!あとしのーかのことも大好き!これからもよろしくな!」
ストレートに思いを伝える田島はやっぱり最強。篠岡も赤くなりながらも嬉しそうにありがとうと言っている。
「篠岡おめでとう!俺達のために頑張っている篠岡を見ると俺達も頑張らないとって気になるよ!俺達と一緒に甲子園行こう!」
巣山も篠岡のことちゃんと見てるんだ…。やっぱり俺達には篠岡しかいない、他の子がマネジとか考えられない。
「しのーか誕生日おめでとう!いっつもしのーかの笑顔に癒されてた!これからも俺達のマネジでいてよ!」
にっと顔を赤くして笑う水谷に篠岡もふふと可愛く笑った。涙はまだ止まっていないようだった。
「篠岡、誕生日おめでとう!篠岡と出会えてよかった!篠岡と他校のマネジじゃなくて西浦のマネジとして出会えてよかった!」
泉は照れながらもすごく大きな声でそう伝えて、篠岡はありがとう泉くんと嬉しそうに返事をした。なんだか俺も涙が出そうになった。
「篠岡おめでとう!主将として頼りない俺を支えてくれたり励ましてくれたりしてくれて、すげえ嬉しかった!これからもこんな俺だけどよろしくな!」
篠岡は頼りなくないよーと花井に笑いかけた。花井は顔をカアッと赤くして篠岡から目を逸らしてそのことを阿部たちにからかわれながらも篠岡の投げたボールを打った。
「篠岡おめでとう!ベンチでも篠岡はたくさんの仕事をしていてすごいなって思ったよ!俺も、もっと野球が上手くなるように頑張るよ!」
最後の西広がそう言うと、一緒に頑張ろうねと笑った。西広も嬉しそうに笑い、篠岡のボールを打つ。
ボールは綺麗に曲線を描き、ライトあたりに落ちた。
篠岡は最後に大きな声で、皆ありがとう大好きと言った。俺達はあまりの嬉しさに篠岡に駆け寄り抱きついてしまった。
∵みんな大大大好き!
(俺達も大好きだよ!!)
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