私の恋人はとても可愛い。でもテニスをしている時はかっこいい。そんな彼が大好きです。

「ん〜〜んまいっ!」
「わぁ!良かった!並んだ甲斐がありました!」

桜乃が丸井にあげたケーキは、つい最近できた有名なお店のものだった。毎朝店頭にケーキが出る前から並んでいる人だってたくさんいる。内気な桜乃にとってそれを実行するのはとても勇気がいることだった。しかし桜乃の丸井への気持ちのほうが大きく、桜乃はそれを実行した。
そして並んでゲットしたケーキが丸井の口の中に運ばれているわけだ。

「並んだって…有名なケーキなのか?」
「あ、ブルーウィングってお店です」

桜乃がにこりと笑ってお店の名前を言った。すると丸井は驚愕の表情になった。

「あ、ああ、あのブルーウィング!?」
「え、あ、はい」
「まじかよぃ!超有名じゃんか!」

丸井は興奮したように桜乃の手をとりブンブンと振った。先ほどより表情が明るく幸せそうだった。

「よし!味わって食べることにするぜぃ!」

そういうと丸井は小さくケーキをすくい食べ始めた。いつものような豪快な食べ方ではなく上品な食べ方で。

「…ふふっ。可愛いですね、丸井さん」
「可愛いって言うなよぃ!」

丸井はそっぽを向いてケーキを食べ始めた。男の人に対して可愛いはやっぱり駄目だったかな…そんなことを思っている桜乃だったが、実際は真っ赤になった顔を見せたくないだけであった。

「(好きな女に可愛いなんて言われて情けねぇのに嬉しいって思っちまう俺って…)」


∵可愛い可愛い私の恋人



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