しゃぼん玉はあっという間に消えてしまう。儚い儚いしゃぼん玉。


「金太郎くん」
「おー!竜崎やー!会いたかったで!」

そう言って、金太郎は桜乃に抱きついた。桜乃も嬉しそうにぎゅっと抱きしめた。

「竜崎なに持ってるん?」
「あ、これ?しゃぼん玉なんだけど、金太郎くんと一緒にやろうと思って…やる?」
「めっちゃやりたいわ!」

桜乃がしゃぼん玉を見せるとものすごい勢いでくいついてきた金太郎。瞳をキラキラさせてしゃぼん玉を見つめた。まるで犬みたいだなと桜乃は思った。

「じゃ、やろっか」

息を吹き込むたびに空に旅立っていくしゃぼん玉。綺麗に空に舞い上がるしゃぼん玉。その様子はとても綺麗で桜乃は見とれてしまった。

「綺麗だね」
「そうやな!」
「でも…儚いね」

しゃぼん玉を見つめてそう呟いた桜乃の顔はとても寂しそうだった。

「竜崎…?」
「しゃぼん玉のように命も儚い。私怖いんだ、いつか皆私の傍からいなくなっちゃうんじゃないかって」

いつもは明るく振舞っている桜乃だが、本当はとても怖かったのだ。そんな桜乃を見て金太郎はぎゅっと手を握った。

「竜崎、ワイはずっと傍におるで?だから心配しないでええねん!」
「金太郎くん…」
「それにな、竜崎の周りにはたくさんいい奴おるで?だからな、安心してええで!」

金太郎はそう言って、にこっと笑った。いつもより何十倍も輝いた笑顔であった。


∵シャボン玉のように儚い命



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