初恋はいつですか?と聞かれたら「3日前」と答えるだろう。恋なんてくだらんわと思ってたから、3日前までは。
3日前、俺は青学との練習試合のあと近くのコンビニで白石たちの昼食を買いに来ていた。夏休み真っ只中に営業しているコンビニは、客の数が普段より多かった。レジも5人は軽く並んでいる。

「はぁ…まだまだかかりそうや…」

ついつい心の中で思っていた言葉が出てしまった。そしたら前に並んでいたみつあみの子がこっちを向いてニコッと笑ってこう言ったんや。

「今日は試合お疲れ様でした」

この子、青学の子や…。なんで俺が試合に出ていたことを知っているんや?

「今日応援に来てた子?」
「はい!四天宝寺中の皆さんの試合を見たのは今日が初めてなんですけどすごくかっこよかったです」

桜乃が素直に相手を褒めるとやはり相手は言われ慣れてないせいか照れた。

「な、なんか照れるなぁ…。自分名前なんて言うん?」
「桜乃です」
「桜乃ちゃんね、俺は忍足謙也言うねん」
「謙也さん…って呼んでいいですか?」
「ええよ」
「有難う御座いますっ」

その子はとても可愛く笑う子で、なんかずっと傍にいてあげたくなる、守ってあげたくなる雰囲気を持っていた。


「あ、謙也、えらい遅かったやないか」
「色々あってな」
「ふーん」

白石は謙也の気味悪いほどのニヤケ顔を見て意味深に笑った。ふいに口を開いてこう言った。

「“恋”でもしたんか?謙也」
「「はぁ!?」」

これには他のメンバーも驚き目を見開いていた。財前にいたっては、むかつくほどの無反応だったが。

「コンビニの店員か?それとも客?」
「いや、なんでコンビニ基準に考えねん」
「べつにそこはどうでもええんや」

そこって何!?あぁやばいやばいやばい。今んなって顔が熱くなってきたわ…。

「顔真っ赤やで、謙也」
「み、見んなや!一氏!」

こんな気持ちになったのは君のせいや。桜乃ちゃん。


∵こんな気持ちになったの、君のせい
(よしっ!週に1回は東京に来るで!)
(無茶言うんやない、謙也)



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