▽高校生(少し下品)/葵視点

高校生になった私たちはお互いの家に遊びに行くことなんて珍しくなくなっていた。毎日当たり前のようにどちらかの家に寄って、お喋りしたりゲームしたりする。毎日そんなことしてたら、飽きちゃうんじゃないの?なんて友達に言われたこともあるけど、そんなこと一度もない。京介の傍に居るのが一番落ち着くし、幸せ。

これからもずっとこんな日が続けばいいなあって思ってたのに。京介が浮気した。

「だから浮気じゃねえっつってんだろ!」
「ベッドの下にエロ本なんか隠しちゃって!私っていう彼女がいるくせに他の女の裸見るなんて浮気同然!私じゃ満足できないってわけ?」
「なっ?!そ、そんなことねえよ!てかそんなこと口に出すな下品だ!」

たまたま京介のベッドの下に携帯についてたマスコットが転がり落ちて、拾おうと下を覗き込んでみたら見つけてしまったエロ本。京介がそんなもの読む姿なんて全然想像できなかったし、そもそも私以外の女の人の裸を見たと思うとカッとなってしまった。私だってまだ京介に裸見せたことないのに。

思わず「浮気者!」と怒鳴りつけたら京介は一瞬驚きそのあと私に言い返してきた。謝る様子をまったく見せないから余計に腹が立つ。

「だって、だって…京介私のこと一度も抱いてくれたことないじゃん!私より、その本の女の人の方がいいの?私じゃ駄目なの?」
「違う!いいから落ち着け」
「落ち着けないもん!京介は私よりその本の女の人の方がいいんだよ!」

そう言った瞬間私は京介に押し倒されてキスされていた。わけがわからない。何で、こんなことになってるんだろう。不思議に思いながら京介を見たら、京介の瞳は少し濡れていた。ゆっくりと口を開いたかと思ったら「悪かった」と呟いた京介。私も言い過ぎたことを後悔していたから「私もごめん」と謝った。京介はホッとしたような表情をした後私にエロ本のことについて話してくれた。

「…エロ本の女、すげえ葵に似てたから買った」
「そうなの…?」
「ああ。俺はいつも葵のこと抱きたいって思ってるし、何度も葵のそういう姿想像したりもした。けど実際お前を目の前にすると勇気が出なくて、だから本屋でこの本見つけたとき買ったんだ。…でも実際読んでみたら全然勃たねえし、何にも感じなかったから一度しか読んでない。…不安にさせて悪かった」

私のこと京介はいつも思ってくれていた。ただ勇気が出なくて私を抱いてくれなかっただけ。そう思うと何だか嬉しくて、京介の胸に抱きついていた。京介は優しく私の背中に腕を回して、抱きしめ返してくれた。京介の匂いが私を包み込んでくれる。大好きな京介の匂い。こんなに近くで感じたのは初めてかもしれない。何だか今なら、言えそうな気がする。私もずっと前から思っていたこと。

「私を京介のものにしてください」


貴方以外のところに行けないように
(ずっとずっと、貴方だけを見ていたい)


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