▽葵視点

「おい、空野」と彼が私に初めて声を掛けてくれた。嬉しくて笑顔で振りむこうとしたのに、突然世界がぐにゃりと歪んで見える。それからぐにゃぐにゃと更に世界は歪み続ける。私はそこで意識を手放してしまった。

次に見えたのは天井。もう世界は歪んではいなくて、いつもの世界。私、倒れたんだ。そこでようやく私はそう理解した。それと同時に剣城くんが私の傍についていてくれたことも理解した。冷たそうに見えても、すごく優しいのね剣城君。

「剣城君、ありがとう」
「…ん、別に」
「ずっと傍にいてくれたんでしょ?ごめんね」

きっと私のせいで練習には出れなかったはず、そう思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。私の傍にいるくらいだったら、サッカーの練習したかっただろうな。マネージャーとして迷惑だけはかけたくなかったのに。マネージャー失格だ。そう落ち込んだら、剣城君は突然私の頭を撫でまわしてきた。髪がぐしゃぐしゃになったけど、撫で方はとても優しくて安心する。

「なに?」
「…空野は悪くない」
「で、でもっ」
「悪くないって言ってるだろ。だからそんな顔するな」

そう言って優しく微笑む剣城君。何でそんなに優しくするのよ。何でそんなに優しく微笑むのよ。何で、何で傍にいてくれたの?私馬鹿だからすぐに自惚れちゃう。剣城君は私のことどう思ってるんだろう。少しでいいから私のこと気にしてくれていると嬉しいな、なんて。


自惚れてもいいですか
title by Aコース

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くおんさん相互ありがとうございました。これからよろしくお願いします。


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