▽葵視点

「京介」
「…なに」

驚いた。今日一番の驚きかもしれない。まさか、返事をしてくれるとは思わなかった。不機嫌な顔して振り向くから怒らせちゃったかな、なんて思ったらそんなことはなく、ただ返事をしてくれた。それに私が突然呼び捨てで呼んだことに対しても別に気にしている様子はない。それはそれで、ショックというか。少しぐらい反応して欲しかった。

「呼んでみたかっただけ、なんだけど。嫌、だった?」
「…別に、呼びたかったらそう呼べばいい」
「え、いいの?」

驚いた。本日二回目の驚き。呼び捨てでも構わない、なんて剣城くんが言うなんて思わなかったから。でも、呼び捨てで呼べることがとても嬉しくて、私は自分で頬が緩むのを感じた。剣城くんを名前で呼んでいる人を私は優一さんしか知らない。だからなのか、自分が特別な存在になったような気がして嬉しかった。そんなわけないのに。けど単純な私だから、そんな小さなことが嬉しくてたまらない。

それから私は笑ってこたえた。

「じゃあ、京介も私のこと名前で呼んでね!」
「は?」
「私だけ名前で呼んで、京介は名字で呼ぶなんて、温度差感じちゃうよ」

京介は私のその言葉に一瞬小さく笑った。けどそれは本当に一瞬で、気づけばいつもの京介で、私をまっすぐ見つめていた。「なあに」と首を傾げれば京介は私を名前で呼んだ。天馬よりも低く、何故か私の心に直接響く声で優しく私の名前を呼んだ京介。

胸がきゅうとなった気がした。


青春サイダー
(サイダーのように甘くて、はじけてる私の青春!)

title by Endless4

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りりさん相互ありがとうございました。


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