女子が苦手な剣城は、女はうるさいだのすぐ泣くから嫌だのとよく葵に文句を言っている。素直な性格でない剣城だが顔のよさに惹かれて近づく女子は多い。そのため女子に言い寄られることが多々あり、そのこともあってか女子が苦手なようだ。最近では女がいない生活がしたいとまで言っている。それは車田や天城からすれば羨ましい悩みである。彼らは剣城とは正反対で全くモテず、所謂いい人止まりなタイプだ。毎年バレンタインでも、義理さえも貰えずチョコのような甘い思い出は作れずに苦い思いをするばかりだ。しかし剣城はそれを羨ましいと言った。

「剣城君って、本当に女の子苦手なの?」
「何度言わせるんだ。女は苦手だ」
「ふーん…それじゃあ、私と話すのも嫌?」

葵がニィと笑いながら尋ねると剣城は突然葵から視線を逸らしてああとだけ呟いた。葵は不思議に思い、後ろから体を傾けて顔を覗き込もうとするが剣城は体をぐるりと回転させて背中を向けた。その後も同じことの繰り返しで顔を合わせようとしない剣城。痺れを切らした葵が剣城が動かないように腕をつかんで、剣城の真正面に立った。そして葵は驚いたような表情をし、そして固まった。あの剣城が頬を赤く染めていたのだ。

「つ、剣城君…?」
「何も言うな、黙れ」
「いや、まだ名前しか喋ってないけど。ていうか、え?何で顔が赤いの?」

その質問をすると剣城はさらに頬を赤く染めて、逃げるように走りだした。葵は逃げた理由が分からずポカンとしていたが、わけも分からず逃げられるのは何となくスッキリしないので追いかけることにした。剣城は追いかけてくる葵の姿を見てはあとため息をついたが、熱くなった頬にあたる風が心地よくて思わず笑顔でグラウンドを走り続けた。


この下心をお前は知らない
(お前は特別だ、なんて言えるわけがない)

title by Aコース

−−−−−
みいなさん、キリ番リクエストありがとうございました。


BACKNEXT


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -