木ノ葉隠れ創設編
-命を懸けた火影、残された側近-
木ノ葉隠れから約百キロ程離れた所にいたセンリの元に木ノ葉の忍鷹が舞い降りた。
『(…!敵のところに柱間が向かった、って……えっと、場所は……ここから真っ直ぐ木ノ葉に向かって五十キロくらい……)』
柱間が向かったサスケ班の大体の場所がかかれていたが、そこまでは五十キロ程あった。
『(今は十一時くらいか……あと何時間かすればチャクラが使えるようになるんだけど…とりあえず木ノ葉方面に向かおう…)』
満月が沈んでしまえばチャクラが使えるようになる。とにかくセンリは木ノ葉の里に向かって走り出した。
それから五時間後には月が完全に消え、日の出が見えてくるとセンリに力が戻ってきた。柱間がいるであろう場所付近にはあと僅かだ。
ラストスパートをかけて走って向かって周辺を感知してみたが、柱間のチャクラはおろか、人の気配さえ見当たらない。
『(あれ……場所あってるよね……もう戦いは終わっちゃって木ノ葉に戻ったのかな…)』
センリが辺りを見回しながらウロウロしているといつもの気配が感知された。
「センリ!」
マダラが枝から地上に降り立って駆け寄ってくる。
『あれ、マダラ。随分早いね。海の方にいたと思ってたけど』
「木ノ葉方面に向かっている途中だったからな……それで、柱間はどこなんだ?」
手袋を嵌め直しながら問い掛けてくるマダラに向かってセンリは首を横に振る。
『感知してみたけど近くにいないみたい。もしかして木ノ葉に帰ったのかも…』
センリがそう言うと頭上でバサッという羽ばたきが聞こえて二人の元にまた鷹が舞い降りてきた。
「またか………センリ、木ノ葉に帰還しろ、と」
『やっぱり戻ってたんだ。じゃあ私たちも木ノ葉に行こう』
マダラは頷いて紙を燃やし鷹を再び空に放った。
二人で木ノ葉に向かいながら、何故かマダラの頭には言い知れぬ不安が渦巻いていた。
太い木の枝を蹴り上げる力がだんだん強くなる。
『あれは緊急用の鷹だったよね。どうかしたのかな』
「さあな……敵が何者なのかは書かれていなかったが…木ノ葉に着いてから柱間に詳しく聞く他ない」
『そうだね』
二人はかなりスピードを上げて木々の間を通り過ぎる。センリもマダラの遠くを見る目には気付いていたが今、頭にあるのは木ノ葉に帰ることだった。
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