- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-命を懸けた火影、残された側近-


しかしその日を境に木ノ葉の里周辺で不審な動きが見られるようになった。

任務に着いていた一人の忍が火の国で不可解な者達を目撃したという。どこの里の人間かは分からなかったが、度々そういった目撃情報があった。
攻撃を仕掛けている訳ではなく周囲を探るような動きをし、こちらが気付くとさっと逃げて行くという。嫌な動きではあった。敵国が戦争を起こす時はこのような動きがある場合があったからだ。


柱間は複数の忍に火の国を巡回するよう任務を出した。視覚的に優れている日向一族やうちは一族の者を任務に向かわせたが、不審者を見かけど絶対にまかれて逃げられてしまうのだという。

その為かなり広く感知ができるセンリと、マダラもが、その任務につくことになった。


『私はこの辺りを探してみるから…マダラはこっちの南のほうね』

「分かった」


センリとマダラは個別に移動をするルートを決めて任務に当たった。

だがセンリの感知力とマダラの写輪眼の前には何故か敵が現れない。実力者を見分けているのか単なる偶然なのかは分からないが、他の忍が巡回している時に遂に相手が動きを見せた。


「火影様!猿飛サスケの小隊が敵と接触したとの連絡が」


サスケから連絡を受けた情報班が火影室に現れたのは夜も耽けた頃だった。

柱間はすぐに立ち上がり、その場へ向かう準備を始めた。


「扉間、もしもの時の為にお前は木ノ葉にいてくれ」

「分かった兄者。敵の目的が何かは分からんが、気を付けろ」


柱間は忠告する弟に向かって深く頷く。扉間も兄の実力なら誰であろうと負ける事はないだろうと分かっていたので早々に送り出した。


「すぐにセンリとマダラに連絡をしろ」

「分かりました!」


扉間は情報班のくの一に伝えると彼女はすぐに火影室を出て行った。

扉間は窓から里を見る。


「(まずいな…今日は満月か)」


頭上には金色の光を放つ、怖いくらい大きな満月が浮かんでいた。

センリは今日はチャクラを使えないだろうから柱間のところに向かうのにも少し時間がかかるかもしれない。マダラからは昨日の時点で火の国南部の海岸線にいると連絡が来ていた為、今でもその周辺にいるとしたら柱間のところまでに何時間とかかる。


「(兄者ならすぐに戦いを終わらせるだろうが…)」


里の中にあった柱間のチャクラが外に出ていくのが分かった。

誰もいない火影室が突然静まり返ったように思えて扉間は大きく息を吐いた。虚しい独り言のようにそれに反応する者は誰もいなかった。



扉間が兄の存在を感知するのは、それが最後になってしまうと分かっていたならこの時無理を言ってでも着いていったのかもしれない。

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