木ノ葉隠れ創設編

-繋がり-


ミトのところに行けば「柱間から聞かなかったのですか?」というデジャヴのような言葉が返ってきた。どうやら二人は同じ勘違いをしていたようだがセンリは気にしなかった。



浅葱が嫁に娶ったのは同じ木ノ葉隠れのくの一で、どうやら戦争中に静かに愛を育んでいたようだった。浅葱より二つ年上の、淡黄色の髪ときりりとした瞳が印象的な少し気の強いくの一だった。


戦争後で火影の息子という事もあり浅葱の祝言式は身内だけでひっそりと行われた。浅葱はまだ十八という若さだったが、時代的にはそこまで珍しくは無い歳だった。


本当に半年後には浅葱の娘が産まれ、ミトと柱間は祖父母となった。

母親譲りの淡黄色の髪をした女の子だった。

浅葱は名を“綱手”と名付け、若いながらも懸命に子どもの為に忍として働き、育てた。自宅にはミトも、扉間も、それから手伝い人もいるのでさらに賑やかになった。


産まれたばかりの綱手を見ている時の浅葱の表情は完全に父親で、最近まで一緒に組手ごっこをしていたのになあとセンリは思い出して何故か感動してしまった。時の流れというのは恐ろしく早い事はこれまでも何度も感じてきたが、改めて思うとこういう繋がりは本当に大切なものだ。

綱手を抱くミトも、どうにか笑わせようとしている柱間も、全てが嬉しかった。


綱手がどうにか立ち上がれるようになる頃には皆戦争の悲しみから立ち直り、里も以前のように活気に溢れる様になった。


センリが尾獣探しに行った時に訪れた村の中には木ノ葉隠れに移住したいという者達がいて、その者達も無事に火影の了承を得て里で暮らし始めていた。
里を大きくするのにはもうセンリは力を使わず、里内や火の国の大工に家々の建築を依頼していた。


里を囲む高い塀は元々かなり広くとってあったが、本当にそれで良かったとセンリは思っていた。火影室から見える里内の家の屋根がどんどん増えていくのは嬉々たる事だった。

イズナからの要望を受けて演習場を増やしたり、里内の一部から温泉が湧き出て旅館が立ったり、人も増えれば商い人と店も増え、里はどんどんと豊かになっていった。



以前のように扉間は弟子達と修業をしたり、術の開発に取り組んだりとするようになった。

しかし十七歳になったヒルゼンはもう扉間が修業をつける必要は無いくらい…むしろ実力では扉間と並ぶ程に強くなっていた。それに何とか追いつこうとするようにダンゾウも切磋琢磨していたがヒルゼンの強さはずば抜けていた。

センリも昔と変わらず修業の合間に休憩を薦めたり間食を持っていってやったりしていたが見る度にヒルゼンは強くなっている気がした。それでもセンリの差し入れを見ると幼い笑顔をみせるのは昔と変わらなかった。


色々な人の成長を見る事が出来るのはセンリにとって嬉しい事だった。

ミトやヤヨイはだんだんと歳をとっていく事に溜め息を吐いていたが、どんなに見た目が老いたとしても彼女達はセンリの友だった。こう言うと怒られそうだが、その顔に刻まれていくシワはセンリにとってはいとおしい。自分の体が成長しないのは一人置いていかれているようで少し寂しくもあったが、それは今はもう自分一人ではない。

同じ様に変わる事のないマダラは、どんな時もセンリの唯一の存在だった。
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