- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-第1次忍界大戦-


ミトはクラマを体に封印しても特に変わった様子はないようだったのでその部分はセンリも安心はしていた。

ミトが九尾の人柱力だという事は極秘事項として扱われた。里の数人の忍と、マダラや扉間、それからセンリだけに留めてあった。

そしてクラマを木ノ葉隠れが捕えられた事について柱間には何か考えがあるようだった。


「考えたんだが…」


クラマがミトに封印されてから二週間後、センリは柱間とマダラと、戦場から帰還した扉間とで話し合いに及んでいた。柱間が言い出すと三人はその言葉を聞く。


「これを区切りに他の尾獣も捕獲出来ないかと考えている」

「…どういう事だ?」


マダラが問い掛けると、柱間はセンリの方を見た。


「前に十尾…不死鳥と話しただろう。五里の影達が集える場はないか、と。それで考えたのだが…尾獣を捉えて提供すれば…尾獣を各国に分配をするという名目で五影が集められるのではないかと思っているんだ。こちらが尾獣を全て集めてしまえばあとの四里は木ノ葉に従うしか無くなる。休戦協定を結ぶ代わりに尾獣を差し出せば、この戦争も終わらせる事が出来る」


『尾獣を、分配…』


センリは何年か前にカルマが言っていた事を思い出していた。

各里が認めた上で尾獣をその里に置く。
多分柱間はその事を言っているのだろう。あの時カルマは、あと十年くらいすればその時が訪れると言ってはいたが、確かにその時から数えれば十二年。それが終戦に繋がるのならセンリには悪い事には思えなかったが、言い様によっては「尾獣達を利用する」ともとれるかもしれない。

センリは柱間の言葉を頭の中で繰り返しながら、少し考えていた。


「尾獣達を引き合いに、戦争を終わらせるという事か」

マダラの問い掛けに柱間が深く頷く。


「確かに…尾獣達をこちらが集める事が出来るのならば、他里は戦いを止めるしかなくなるだろうが……。この戦争の真っ只中で尾獣を集められるのか?」


扉間は柱間の意見に賛同してはいたが、尾獣を集めるのが至難ではないかと指摘した。そこでセンリはふと思いついた。


『それなら私が行くよ』


センリは小さく右手を挙げる。柱間も実際のところそれをセンリにお願いしようと思っていた。


「多分それが一番良いだろうな。今なら各里戦争中で国境の警備の忍達も僅かしかいない。それにもし敵と出くわして交戦になったとしても、センリならすぐに切り抜けられるだろうぞ」


センリもその点にはそれなりに自信はあった。それにセンリ自身も尾獣達に会いたいという気持ちは元よりあった。


「本当に大丈夫か?何処にいるかも分からない尾獣達を探し出すにはそれ相応の時間がかかる。満月の日はどうするんだ」


マダラは一人顔を顰めてセンリに問い掛ける。マダラが心配するだろう事はセンリも予想していた。


『大丈夫だよ!その日は安全な場所に隠れるし。それにチャクラが使えなくて誰かと会っちゃったとしても、逃げ切るくらいは出来るから』


満月の日にチャクラが使えなくなる事はマダラとイズナの他に、柱間と扉間だけは知っていた。センリが安心させるように何度も大丈夫だと言うと、マダラは大きく溜め息を吐いた。


「だが、捕まえたとしても尾獣をどうするんだ?一匹一匹牢にでもぶち込むのか?」


マダラの次の質問にもセンリは微笑んだまま答えた。


『それはとりあえず私の体に封印しようと思ってる』

「何だと?」


それを聞くと途端にマダラの表情が険しくなるのでセンリは慌ててそれを制する。


「人柱力になるというのか?」


柱間の問にもセンリは首をブンブンと横に振った。


『そうじゃなくて、尾獣のみんなを一旦私の体の中に置いておくって事。ずっとは無理だけど……カルマが言うには最長で一年くらい』

「そんな事が出来るのか?」


信じられないという扉間の声音にセンリは頷く。ついこの間カルマが言っていた事だから間違いは無いだろう。人柱力では無いのであくまで尾獣を体に封印するのみだ。力が使える訳では無い。


「センリが尾獣を最初に体に入れてから一年以内に五影を集めろという事だな?」

『そういう事。柱間、出来そうかな?』


センリが少し控えめに言うと柱間は大きく頷く。


「分かった。必ずそうしようぞ。尾獣達を集めてしまえば五影が集まれるのも時間の問題だからな」

『私もなるべく早くみんなを集めるよ』


センリが本当に尾獣達を集められるのか、封印出来るのか扉間はまだ半信半疑だったが、今の所戦争を終わらせるにはこれが一番得策だと考えて意見に同意した。マダラは最後まで納得行かない顔をしていたが、センリの変な所での頑固さは承知済みだったので結局は頷くしかなかった。
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