- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-三代目火影-


マダラの強さは恐らくうちは一族の全ての忍達が知っていたが、里の相談役としてそれ程一族内部には関わっていない為、実質的には刑務部隊長であるカガミの父がうちは一族を担っていた。

マダラとセンリの本体が里外で戦っている頃、カガミの父、自身が老いた事を考慮し、次の部隊長任命を考え始めていた。


そこで名が上がったのがフガクだった。フガクはあのマダラが渋々認めるくらい実力があり、任務にも未だに失敗した事が無かったし、戦場でも必ず成果を上げていた。二十歳を過ぎたばかりのフガクではさすがに若過ぎるという意見もあったが、十中八九大戦後の部隊長はフガクだろうとマダラも予想していた。


その中でセンリとうちは一族との関係は変わらず良好で、里ができた当初から知る一族の者はほんの僅かだったが、それでもうちはにとってのセンリの存在は変わる事のないものだった。

分裂体と本体とを交互に里外に送りながらも、センリは相変わらず里にいるうちは一族との交流も続けていた。

センリがどのように一族に関わってきたかは知らない者もいたが、センリとマダラを慕い、尊敬している忍が殆どだった。




うちは一族は大体が密集して里に住居を構えていて、そこにセンリが向かえば子ども達は皆笑顔で駆け寄ってくる。やはりうちは一族はセンリにとっても大切な存在だった。



赤ん坊の時から交流があったうちはミコトは、上忍になり、回数は少ないが何度か戦場にも出ていた。

里に帰ると日々任務や修業に打ち込んでいたが、その合間を縫ってセンリと共によく甘味処を訪れていた。ヤヨイももう五十代になり、店は次の若い店員に任せているようだったが、相変わらず団子をサービスしてくれていた。

サービスしてもらったみたらし団子をミコトと共に頬張りながらセンリは彼女の悩み事を聞いていた。


『それで……フガクは何だって?』

「任務と重なっているからダメ、だと……。これでお誘いを断られたのは十二回目です…」


家が近所という事もあり、フガクに想いを寄せているミコトは何度もデートや修業の誘いをかけているがまだ一度も了承してもらった事がなかった。

少し項垂れているミコトだったが、諦める気はないようだ。


『そっか……まあフガクは本当に忙しいからね。それに戦争中ってのを気にしてるのかも』

「そうなんですよね。それは分かっているのでしつこくは出来ませんが…」


ミコトは恋には少し奥手だったが、相手を思いやる気持ちは立派なものだった。


『ん、じゃあ今度私がフガクの代わりに戦いに出ようかな。そしたらフガクは嫌でも休日をつくらなきゃいけなくなるし』


センリが悪戯っ子のように笑って言うとミコトは少し申し訳なさそうな顔をした。


「そんな、センリ様に迷惑をかけるなんて、」

『いいのいいの!私もフガクは働き過ぎだと思ってたからね。たまにはちゃんと休んで女の子と遊んだりしなきゃ!若い時に力を使い過ぎるとシワが増えるんだよ。マダラみたいにさ』


ミコトを笑わせる為にセンリが冗談めかして言う。センリが自分の目元を指さし大袈裟に困った表情をするとミコトは笑った。


『それにミコトは歳の差が…って言ってたけど、全然問題無いよ。私なんてマダラより百歳も歳上なんだからね』

「ええっ、本当ですか?」

『ホントホント!だから五歳の歳の差なんて気にしなくていいんだよ』

「そ、それを聞くと本当に何でもない事のように思えてきます…」

『でしょう?ミコトはかわいいし強いし、自信もって』



ミコトとこうして話をしているとセンリは桃華やミトを思い出した。あの時はセンリの方が相談に乗ってもらっていたが、今ではそれは逆になっていた。センリはそれが嬉しかったし、恋の話を聞くのは女子特有のものだったのでそれを聞くのが楽しくもあった。
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