木ノ葉隠れ創設編
-重なり合う愛-
センリが次の日起きて眠気眼でふと隣を見るとマダラの寝顔が見えて、途端に昨日の出来事を思い出した。
センリは恥ずかしくなってもぞもぞ起き上がり違う部屋で着替えを済ませ、顔を洗い朝食の準備に向かった。時計を見れば朝の八時過ぎだ。昨日夜中にあった出来事のせいもあり、いつもより遅起きだ。
台所でささっと朝食を作り終えて少しするとマダラが起きてきて、センリは前掛けを脱ぐ動作を止めてその気配に振り返る。既に着替えを済ませたらしいマダラが戸に寄りかかってこちらを見ていた。その優しい目を見てセンリは恥ずかしさよりいとおしさを覚えた。
『おはよう、マダラ』
センリはマダラに微笑みかけた。マダラも微かに笑みを浮かべて「おはよう」と返す。気持ちが繋がっただけだというのに何でもない事が今までと違って見えるのは不思議だ。
二人で食べるいつもより遅めの朝食の間もマダラは今までよりも穏やかに見えた。
今まではここにイズナもいたが、今は二人。だんだんと二人の食事にも慣れてきた。
今日はいつもより暖かい等と話していると、ふとマダラがセンリの顔をじっと見る。センリはどうしたのかと箸を止めた。
「少し、目が腫れてるな」
昨日たくさん泣いたせいでセンリの瞼は少し腫れ、目の下は赤くなってしまっていた。マダラは左手でセンリの目元にそっと触れた。
『そういえばちょっと腫れぼったい感じがするかも…』
センリは確かにに違和感を感じていた。マダラを見るとじいっと、腫れぼったくなった自分の目を見つめている。マダラの指先は冷たくて、熱が集中している目元に当たると気持ちが良かった。
「痛むか?」
マダラの問い掛けにセンリは首を横に振った。とても心配そうな目だ。
『大丈夫だよ。ごめんね、朝から見苦しいものをお見せしてしまって…』
昨日の夜は暗くて分からなかったが今はもう明るい。明るい中で腫れた目など見たくないだろうなと思ったセンリは申し訳なさそうに俯いた。
「いや」
しかしマダラはふっと笑いを浮かべてセンリの頬を撫でた。センリの頬は温かかった。
「昨日のお前の言葉は夢じゃなかったと、実感できる」
マダラは朝起きて隣にセンリがいなかったことで、昨日の出来事は幻だったのかと少々疑った。しかし泣き腫らしたセンリの瞳はそれが現実だと痛いくらい教えてくれている気がした。
『ゆ、夢、じゃないよね?』
目をパチパチさせながら心から不思議だと言うふうに自分に聞き返してくるセンリがどうにも可愛らしくて、マダラは笑った。
「馬鹿、それはこっちのセリフだ」
センリはマダラを見た。普段は鋭い光を放つ瞳が、優しく細められている。「愛おしい」と思った。
夢ではなかった。言葉も温もりも、まるでつい先ほどの事のように二人の心にあった。二人は顔を見合わせて笑った。
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