- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-固まりゆく里の地盤とうちはの石碑-


『えっと、三人とも小さい時見たよね?本当は大きい鳥の姿なんだけど、人間にも化けられるの』


センリの丁寧な説明も中々三人の頭に入り込んでこなかった。


「ここで本当の姿になってやってもいいが、さすがに無理があるか…」


カルマは火影室をぐるりと見回す。


「本当に、あの十尾なのか?」


横から見ていたマダラが疑り深そうにカルマをしげしげと眺めた。マダラは十三になったばかりの頃センリが消えてしまったあの時…その時に一度見たきりだったがその圧倒的な威圧感は忘れてはいなかった。


「その瞳力があれば把握するのは簡単であろう」


カルマはそう言うとふっ、と少しだけ瞼を下ろした。


「!!」


柱間は背筋を伸ばし、扉間は数センチ後退りをした。カルマがチャクラを少し放出しただけで周囲の空気が明らかに歪み、マダラは無意識に写輪眼になっていた。センリには何の影響もないが、三人とも鳥肌が立っていた。少し気を緩めると見えない力に飲み込まれそうな感覚に陥る。


「なるほど……これは確かに、“人ではないな”。さすがは尾獣のチャクラというところか」


下手すれば冷や汗が流れ落ちそうになるのを堪え、扉間が言う。カルマのチャクラもセンリと同じように白銀だったが、明らかにその質は違うものだ。カルマに敵意は無いと分かってはいたが、柱間もグッと拳を握り締めていた。


『カルマの力はなんか独特だよね』

場違いな微笑みを刻んだセンリが穏やかに言った。この圧倒的な力の中でも変わらないセンリを見て三人は安堵していた。

カルマの方もセンリを見て静かに笑うと、突然辺りの締め付けが無くなった。マダラの写輪眼がすうっとひいた。


「何かの術で縛られていたと思ったが……センリの中から出られるのか?」


マダラはセンリの中にカルマがいる事も、呪いで術にかけられていたことも知っている。センリの言う事だ。嘘ではないにしろ今ここに十尾がいるのは何かおかしな気がした。


「さすがよく知っておるようだ。確かに我とセンリは互いに何かの封印術にかけられている。それは現在進行形だ。しかし、今、その術の縛りが弱まっている。だからこそこうしてセンリの中から出ることが出来ている」


マダラは割と納得した様子だったが、柱間と扉間はまだ驚きを隠せない様だった。


「センリが十尾の人柱力とは知っていたが…」


柱間が呟くように言った言葉にカルマは何故か笑いを漏らした。


「折角だから言っておくが、我は十尾でもなければセンリとて人柱力ではない。他でそう呼ぶのは勝手だが我の前でその言葉を口にするでない」


その表情は確かに幼い少年のものなのに、センリと同じ色をした鋭い瞳は、柱間でさえ心臓を萎縮させるだけの威圧があった。


『カルマ、柱間がそう言うのも仕方のない事だよ』


センリは、珍しく威圧的なカルマを手で制した。圧倒的な力が滲み出ているのを感じてマダラは唾を呑んだ。

「まあ、今はお前達が我をどう呼ぼうかは問題ではない……火影とやら。御主に少々聞きたい事がある。その尾獣についてだ」

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