- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-第2次忍界大戦-


国々の情勢が崩れると、それに比例して悪さをする者も増える。特に戦争をする上で役に立ちそうな力を秘めた人間は狙われやすいというのも、必然的ともいえる不条理だ。


圧倒的なチャクラと独自の封印術を持つうずまき一族もそのうちの一つだった。

木ノ葉隠れの同盟国でもある渦の国では戦争になるとその力を狙おうとする輩が必ず現れていた。


木ノ葉隠れの里の中でも、九尾の人柱力でもあるミトが住んでいる屋敷には、なるべく暗部の護衛をつけるようにマダラも扉間も取り計らっていた。


その度にミトは申し訳なさげにしていたが、自分の身体がもう老いに勝てなくなってきている事も自覚していた。



『ミト、しばらくの間護衛がつくからちょっと生活しにくいかもしれないけど、もし何かあったら小さな事でもいいから知らせてね』


センリは細くなったミトの手をそっと握りしめた。


「お前ももう若くない。昔のように無茶な事は控えるようにしろ」


マダラの口調は乱暴で素っ気ないが、その言葉の裏側の優しさを知っているミトは微笑んで何度か頷いた。


「ええ、分かっています。ただ……戦争が始まったというのに、私だけこうして何もせずにいるのは少し忍びないのです。それくらいの罪悪感は持たせてください」


確かにミトは老いはしたが、里を思うその心は昔のままだ。何か里の為になる事をしたいと思うが身体が言うことを聞かないというのは辛いのだろう。センリはシワの増えたミトの手を握る手に少しだけ力を込めた。



『大丈夫、ちゃんとミトの気持ちとも一緒に、戦うから。ミトも同じ未来を信じてくれてるって思えば、元気百倍だよ!』


ミトは一度目を瞬いて、その後微笑み、目尻にシワを刻んだ。


「ありがとうございます、センリ……渦の国まで気を配ってもらっているというのに…」


「渦の国にも木ノ葉の忍を何人かやった。護りは完全ではないが……渦の国が攻められるような事があればこちらからすぐに増援を送るように指示をしてある」


マダラが腕組みをしたままつらつらと説明した。ミトはやはりすまなそうに眉を下げた。



「すみません――――」

「戦が起きたら、同盟国の守りを固めるというのは当然の事だ。柱間も同じ事をしただろう」



マダラの淡々とした言葉に、ミトはそっと笑みを浮かべた。他者が聞いたら嫌味に聞こえる言葉でも、安堵と優しさを感じるのは不思議な事だった。



「謝る暇があるなら、こいつと共に甘味処にでも行ってこい。身体が鈍っているのならむしろ少しでも動いた方がいい」

『それいいね!分裂体がいれば全く問題ないし、それに腹が減ってはナントカって言うしね!』


それぞれが、自分を思う言葉をかけてくれる空間は、ミトにとって何よりも嬉しいものだった。



「(私にも…まだやれる事があるはず……次の未来を、次の世代に……―――――)」
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