木ノ葉隠れ創設編

-三代目火影-


自来也、大蛇丸のいる隊に綱手も加わる事になり、共に戦場に向かう事となった。

場所は大きな戦闘がいくつも起きている雨隠れで、木ノ葉が一番手こずっている箇所だった。


そこで三人は、雨隠れの半蔵と言われ恐れられている強敵相手に屈せずに戦い抜き生き残り、それから“木ノ葉の三忍”と呼ばれるまでになった。

綱手、自来也、大蛇丸が口寄せする動物達はそれぞれ蛞蝓、蝦蟇、蛇の三竦みと呼ばれるものでその大きな体と三人を見掛けた敵国の忍達は文字通り足が竦んで動けなくなる程だった。

蛞蝓は柱間の口寄せ動物でもあり、綱手はそれを受け継いだ事にもなる。


綱手が木ノ葉の三忍と呼ばれる頃、綱手には恋人が出来ていた。

綱手の意見に同調してくれていた加藤ダンだ。
二人が互いの想いを確認し合うのにはそれ程時間はかからなかった。

「火影はオレの夢だから」

そう語るダンに、綱手は縄樹を重ね合わせていた。縄樹が死んだ悲しみから救い出してくれたダンの存在は綱手にとってどんどんと大きくなっていった。


ダンと綱手らは同じ小隊で敵地に向かう事もあったが、綱手は縄樹の事があってからダンの同行には人一倍気を配っていた。マダラとセンリは別の部隊で戦闘をしてその場の敵の忍達を一掃出来た事もあり、そのせいもあってか、雨隠れの戦いも木ノ葉隠れは優勢になっていった。


しかし三人の他にももちろん戦場で活躍していた忍はいた。

“木ノ葉の白い牙”として名を馳せていたのは、はたけサクモと呼ばれる忍で、風遁と雷遁が得意なはくはつの好青年だった。綱手らよりもいくつか歳上の忍で、彼と共に戦場へ向かった隊は、怪我を全く負わずに帰ってくる事も多かった。サクモの一番の特徴は絶対に仲間を戦場に置いて帰らない事で、どんなに重傷者でも絶対に里まで連れ帰る優しい精神があった。



うちは一族が戦場で立派な働きを見せているのは周囲も知った事だったが、死者も少なからず出ていた。


雲隠れのクーデターに合い、無事に帰還していたうちはカガミもその中の犠牲者だった。カガミには産まれたばかりの子どもがいたが、その子の成長を見ずして戦死したのは非常に無念だった。

警務部隊の忍も今は多く戦場で戦っていたが、部隊長であるカガミの父は息子の死を聞いて一層木ノ葉を、そして孫を守らなくてはと強く闘志を燃やしていた。


戦場に駆り出されない幼い子ども達は里の皆にとっても明るい希望だった。未来を生きる子ども達の為に、忍達が命を懸けている事はセンリにもよく分かっていた。


「センリ様、まだ戦場に出てはいけませんか?」


自来也との修業の中で中忍に昇格していたミナトは早く戦いを終わらせる為に自分も戦いたいと思っている子どものうちの一人だった。



『ミナト、戦いの場には、少なくとも十二歳を過ぎてからじゃないと』


センリがミナトの髪をふわりと撫でると、一瞬ミナトは納得いかなそうな表情をしたが、その後は何も言わなかった。


同い年のクシナは、ひと足早くミナトが下忍になった事をぶうぶう言いながらも、早く戦争が終わって欲しいと望んでいた。



「センリ、早く戦争が終わるといいね。私早くセンリと一緒に渦潮隠れに行きたいってばね」

『そうだね……必ず、終わらせようね』



親を失くした子ども達も多くいる中、センリは、里内の子ども達を支える事も大切な事だと思っていた。


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