木ノ葉隠れ創設編
-繋がり-
春の、まだ寒い早朝の朝焼けの下、センリとミトと扉間は里の門前まで見送りに来ていた。
「気をつけて下さいね」
ミトが柱間とマダラを交互に見ながら言った。
「心配無用ぞ」
柱間が大丈夫だ、というふうに力強く答え、マダラも同調するように短く頷いた。
センリが柱間の前に一方進み出て、その顔を見上げた。
『柱間…出来るなら、他の影の人たちに、尾獣を手酷く扱わないように忠告してほしい』
柱間はその言葉に少し驚いて一瞬目を開いた。センリの目は子どもを心配する親の目そのものに見えたからだ。
『尾獣たちにも悪い所があるのは重々承知だけど……あの子達は、私を“信じて”自ら私と共に来てくれた。まずはその思いを…ほんの少しでもいいから、分かってほしい』
センリと尾獣の関係がそこまで深いものと思わなかった為、その場にいた誰もが少々の驚きを隠せなかった。
だが柱間は迷いなく大きく頷いた。
「尾獣達を集めることが出来たのもセンリのおかげぞ。出来るかぎり、善処しよう」
『ありがとう、柱間』
センリはその事については柱間を信じて託す事にした。ミトは、尾獣たちを心配するセンリを少し不思議に思う反面「センリならそう言うだろう」という妙な納得感にも包まれていた。
『二人とも、よろしくね』
「マダラ、兄者の事を頼んだぞ」
扉間は最後の最後まで柱間を心配していた。マダラは「分かっている」と短く答えた。柱間は一瞬納得いかなそうな顔をしたが、何も言わなかった。
「センリ、昨日俺が言った事は分かっている…――――」
『わ、分かってるって!ホントのホントに!大丈夫だから!はい、出発出発!』
マダラのくどくどが始まりそうになったのでセンリは慌ててマダラの背中を押した。さすがに今回遅刻する訳にはいかない。
「イズナにも頼んであるが……ミト、こいつが無理しないようによくよく見ておいてくれ…―――」
センリに押されながらマダラがミトに向かって言った。ミトは袖で口元を隠しながら笑みを洩らした。
「任せて下さい。きちんと“監視”しておくわ」
『も〜〜!大丈夫だってば』
センリは不服そうに口を尖らせたが、今度こそ二人を見送った。
マダラと柱間が歩き出すとセンリはホッと胸を撫で下ろした。
「全く、扉間が扉間ならお前もお前ぞ。オレたちの事になると途端にひどい心配性になる――――」
「そう思うんなら柱間、お前は常にこっちを心配させないような行動をとれ」
「酷い言い草ぞ。マダラを信頼しているからこそだというのに……―――」
「お前のお守りをする為に着いていくんじゃないんだぞ。だいたいお前は昔から――――」
二人がなんやかんや言いながら去って行くと少しして、素顔を悟られぬよう面をしたサスケと日向の忍達がどこからとも無く現れて二人の後を追いかけて行った。全員の姿が見えなくなるまでセンリ達三人は見つめていた。
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