木ノ葉隠れ創設編
-弥彦と小南と長門-
子ども達が寝入った夜、センリは自来也と共に小屋の外で話をしていた。辺りは暗く、サアァァアという雨の音以外は何も聞こえない。
「センリ様、長門のあの目は……」
自来也の問い掛けにセンリはコクリと首を振る。
『自来也も知ってたんだね。あれは間違いなく輪廻眼』
「やはり、そうでしたか…」
自来也が信じられないという表情をした。
「忍の始祖といわれる六道仙人が持っていたとされる輪廻眼……現在の全ての忍術は六道仙人により生み出されたと聞いていましたが………」
現在は神話として語り継がれている為、その話は少し違っていたが、センリは驚きつつ否定せずに頷く。
『自来也は詳しいんだね』
自来也は世界を旅して人一倍忍界の歴史にも詳しくなっていた。
「旅の道中、六道仙人と縁があったといわれる場所があったので……。歴史に詳しい者なら六道仙人と陽光姫の事は必ず知っているでしょうし……」
そのひとつの存在が今自分の目の前にいるとは気付きもしない自来也が動揺したように言った。
「六道仙人は力を生み出し、陽光姫は仁愛を生み出した……力を生み出した六道仙人は、世が乱れた時に天より遣わされる創造神とも、全てをゼロに戻す破壊神ともいわれる……。神話の話だとばかり思っていましたが、本当に輪廻眼を持つ者が存在するとは……」
ハゴロモと共にカグヤと闘った時、確かに一度世界が壊れ、そして何とかしてそれを元に戻した事を考えるとあながち間違いではなかった。
『輪廻眼は存在するよ』
自分を見るセンリの表情を見て自来也は確信した。嫌に神妙なセンリの瞳を見返して、自来也はその目が輪廻眼との形状に似ている気がしたがさすがに違うのだろうと思い直した。
「センリ様、もしかしてあなたは輪廻眼について、何か知っているのですか?」
何かを考えているようなセンリの顔を見て自来也が問い掛けた。
『ん…うん。少しだけ、ね。自来也が言っている事は、大方合ってるよ。珍しい事に変わりはないけれど、使い道さえ間違えなければ、心強い存在になる』
自来也はそれ以上は問いたださなかった。
何年も生きているセンリにならもしかすると自分の知らない事を知っているのかもしれないと思ったが、センリはそれ以上口を開かなかった。
『(あれは本当に輪廻眼……。でも、だとしたらどうして……あれはハゴロモの血筋でなければ開眼できない。そうなると長門はもしかして千手一族とうちはの血をひいているの…?……んん…とにかくこの事は、今度カルマに聞いてみよう。しばらくは長門をよく見ておかないと……)』
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