- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-弥彦と小南と長門-


自来也のところへ行くまでは一日半程だった。それ程大きくない国なので、自来也の居場所は探知をすればすぐに分かった。


自来也は三人の子ども達と一緒だった。


勝手な行動をしている事を申し訳なさそうにしていたがセンリは『大丈夫』と首を振った。



「まさかセンリ様を寄越して下さるとは…いやあ、帰ったら猿飛先生にもどやされますなあ」

『大丈夫だよ。戦争の状況も前より落ち着いてきてるから……ヒルゼンもマダラも文句言わなかったよ』

「ミナトも残してきてしまいましたからのぅ…ミナトは里に?」

『戦には出てないよ。ミナトは行きたいみたいだけど……縄樹の事があってからヒルゼンも慎重になってるみたい』

「それにはワシも賛成です。戦が活発でない以上、子どもを戦場に送る必要はないですから」


自来也はちらっと後ろの方の子ども達を振り返った。


「ミナト達を担当していた時を思い出してしまって……どうもあの子達を放っておけんのです」

『大丈夫。分かってるよ。私は自来也の判断、間違ってないと思う』


センリが穏やかに言うと、自来也は安堵したように表情を崩した。



「ねえー、話まだ終わらないの?」


後ろの方からじれったそうな声が響き、センリと自来也は子ども達の方に向き直った。



最初は警戒していた子ども達だったがセンリが自来也の仲間だと分かると途端に表情を崩した。
三人は皆七歳という同い年で、この戦争で親を忍に殺された孤児だった。

雨隠れの里にほど近い場所は、センリがまだあまり足を踏み入れていない所だった為、少し悔しさを噛み締める事となった。


だが、センリと自来也と、その子ども達が仲良くなるのに時間はかからなかった。


弥彦は三人の中でリーダー的存在の明るい少年で、橙色の髪をした強い意志のある子どもだ。

目が隠れて見えないほど長い赤髪が特徴的な長門は、物静かで中々感情を表に出さなかったが、仲間思いの優しい少年だった。

紫色の短い髪の小南は戦争で親を失くした事をきちんと受け止め、他の二人をいつも支えている少し照れ屋な女の子だった。



その地の天候のせいで雨が降り続く中、五人は小さな小屋に集まって生活した。

それまでは町で盗みを働いて何とか食い繋いでいた事を知り、センリと自来也は自分達で自給自足出来るやり方を教えた。

食べられる植物、キノコの見分け方、猟の仕方、魚の釣り方等、子ども達だけで生活していける術を教え込んだ。

センリのその辺の知識は広大なものだったので、かなり役に経った。



自来也はセンリがわざわざ駆け付けてくれた事に安堵を覚えながらもその優しさに感謝していた。センリがいれば自分一人で子ども達の面倒を見るよりずっといい事は目に見えていた。


三人は自来也とセンリの事を“先生”と呼び慕うようになった。
[ 208/230 ]

[← ] [ →]

back