木ノ葉隠れ創設編

-千年前の予言-


蝦蟇洞の大蝦蟇仙人の滅多にいない知り合いという事で蝦蟇の夫婦…フカサクとシマは、虫料理でもてなそうとしていたがギリギリのところで自来也が言い訳を考えてその場は脱した。


自来也は仙力ならぬ仙術を会得するために妙木山に通っていたが、どうやら上手くいっていないようだった。十四歳という自来也の年齢を考えれば妥当な事だったが、それに悔しさを感じているようだった。

木ノ葉近くに待機していた妙木山の蝦蟇に逆口寄せをしてもらい、夕暮れの川沿いの道を歩きながら自来也は今日の事を改めて振り返っていた。


「しっかし、センリ様って本当にすごい人だったんだな。あの伝説の不死鳥を体に宿してるって本当の事だったのか」


自来也はカルマの威圧感を思い出して腕をさすった。

『だから成長しないで生きてられるんだけどね』

センリが不老不死の謎が解決したようで自来也はスッキリした顔をしていたがすぐにどんよりし始めた。


「センリ様はすげーなあ。オレもそんなに強かったらすぐに仙術を会得出来んのに」


はーあと大きなため息を吐きながら自来也は頭の後ろで手を組んだ。センリは自来也が仙術会得に奮闘している事はよく知っていたのでその背中をポン、と叩いた。


『大丈夫だよ。きっと出来るようになる。大事なのは諦めない事だよ』

センリの言葉に自来也はハッとして体を揺らした。


『根気よく続けていればきっと出来るようになるよ』


自来也は「そうかなあ」と言って苦笑いしたが、センリは元気づけるようにはにかんだ。


『そうだよ!夢を叶えるために、未来のために、大切ななにかのために耐え忍ぶ。そうすればきっと道は開ける!』

「忍び、耐える…」

『そっ!柱間…――初代火影もね、よく言ってたんだ』


自来也はセンリの言葉を繰り返し、何か分かったようだった。センリの言葉は何の突っかかりもなく胸の中に落ちてきて、体の中にすうっと溶けていく気がした。不思議な感覚だった。


『大丈夫、きっと出来るようになるよ!』


センリが大丈夫だといえば何もかもが上手くいくような気がしていた。

自来也は唇をクイッと上げていつものように悪戯に笑った。


「そうだ、諦めてたら何も始まらねー!オレはいつか絶対に世の中の綺麗なねーちゃんを全員振り向かせてみせるんだ!その為にめちゃくちゃ強くなってみせます!」


自来也は振り切ったように拳を突き上げて意気込んだ。夕焼けの赤い光が一瞬自来也の手のひらに吸い込まれたように見えた。


『ん!がんばれ!自来也なら出来る!』


ふざけているような目標にもセンリは馬鹿にすることなく共に拳を上げた。

赤い光に照らされた自来也は何故か頼もしくみえてセンリの心は晴れやかになった。
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