木ノ葉隠れ創設編
-扉間とイズナ、大蛇の子-
その後センリは商店街や森で大蛇丸の姿を探してみたが、それ以来出会う事は無かった。
『(忍って言ってたから……もしかしたらもう任務とかについてるのかな)』
早くにアカデミーを卒業し、早々に任務についている有能な子ども達は毎年少なからずいた。綱手も例外では無かったし、うちはの子どももたまに飛び級をしている。
忍としての実力は十分な子どもが多かったが、早く卒業出来たからと言ってすぐに大きな任務につけるわけではない。十二歳を過ぎるまでは特に危険な任務を受けさせないようセンリは扉間に要望を話していた。
その為綱手などは任務のレベルの低さに愚痴を言ってはいたが、センリは何とかなだめて代わりに共に修業などをしてたりしていた。
それから少しすると日向一族の宗家に双子の兄弟が産まれ、センリもお祝いに駆け付けた。日向一族は一族内のしきたりが厳しく、センリでさえ踏み込めない部分もあったが、やはり新しい命を抱ける事は嬉しかった。
「センリさま、こんにちは」
『こんにちはフガク』
センリが赤ん坊の時に面倒を見ていたフガクもあっという間に五歳になり、この頃は忍の修業も始めていると言う。センリは礼儀正しくお辞儀をする黒髪を撫でる。フガクはやはり子どもにしては凛々しく、まるでマダラの幼い頃を少し思い起こさせた。
『この前アマネちゃんとこの子が産まれたって聞いたけど、フガクはおうちが近かったよね』
「はい。この間アマネさんに会ってその時に産まれた子も見ました」
センリはこの間無事にうちはの子どもが産まれたと聞いて里ができてから何度目かの安堵の息を吐いていた。
『名前は…ミコトちゃん、って言ったかな。フガクも仲良くしてあげてね』
「はい」
うちは一族は元々一族内での結束は硬い方で中でも忍達の繋がりは随一だ。フガクは微かに子どもらしい笑顔を浮かべて頷いた。
それからすぐに浅葱の二人目の子どもも産まれた。綱手には弟が出来た。歳は十二離れていたが、その分綱手は弟が可愛くて仕方ないようだった。
ミトも二人目の孫の誕生に大層喜んでいた。ミトは最近は母国の渦の国にいる事が多かったが、その時ばかりは木ノ葉に駆け付けた。
『柱間譲りの黒髪だね……!あ、浅葱譲りか!』
「ふふ、そうですね。頬が赤くてかわいい」
センリもミトと共に喜びを分かち合った。綱手の弟は“縄樹”と名付けられ、家族に囲まれて明るく元気に成長していく事になった。
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