木ノ葉隠れ創設編
-千年前の予言-
そして綱手が十二歳を迎えると上忍を一人師に迎える事になった。綱手はその時点ですでに同世代の子ども達を遥かに突き放す程実力をつけていた。
綱手の他に特に実力のある二名を弟子としたのは猿飛ヒルゼンで、扉間が直々に指名したものだった。ヒルゼンは扉間の読み通り、綱手を柱間の孫として見る事はなく、他の二人も平等に扱った。
「オレが子ども達を教える番になるなんて」
とヒルゼンは自分で驚きを隠せない様子だったが、子ども達を育てる事が出来て嬉しそうだった。
そしてセンリはそこでやっと二度目の再会を果たした。ヒルゼンの班には綱手の他に大蛇丸の姿があった。綱手と同い年だとは分かっていたがこうも偶然が重ねるとさすがに驚いてしまう。
もう一人の班員は自来也という少年で、いつも綱手が“エロ助”だと話している子どもだ。自来也は大蛇丸とは正反対の性格で木ノ葉でもいたずら小僧として有名だった。外見にしても大蛇丸とは正反対のはくはつで、目の下に赤く戦化粧が施されている。会えばいつでも笑顔を浮かべて駆け寄ってくる少年で、センリのおいろけの術を催促してくる文字通りエロ助だった。
「センリ様はいつ見ても美人だな〜。それに優しいし、面白いし。綱手も少しは見習ったらどうだ?」
「それはどういう意味よ、自来也!」
「そうやってすぐに怒るなって事じゃない?」
「何だとこのスケベ野郎!」
「うわっ、言ったのはオレじゃなくて大蛇丸だろ!」
『ほらほら、綱手。怒ると可愛い顔が台無しだよ』
「でもセンリ!このエロ助が!」
「よし、遊んでないでそろそろ修業を開始するぞ!」
三人は決して似たもの同士とはいかなかったが、チームワークが悪い訳ではなかった。それはヒルゼンの指導のお陰でもあったし、たまにセンリが様子を見に行っているからでもあった。
扉間から受け継いだ絆を弟子達に託すように修業をするヒルゼンの姿は微笑ましかった。
「センリ!今日の修業が終わったら一緒に甘味処に行こう!」
『もちろんいいよ』
「えっ、じゃあオレも!」
「あんたは着いて来ないで、自来也!」
ヒルゼンと修業をするようになっても綱手とセンリの姉妹のような不思議な関係は続いていた。父である浅葱は申し訳無さそうだったが、綱手と一緒に話をしたりするのはセンリにとっての楽しみでもあった。
どんどんと成長していく綱手を見ていると自然と心があたたかくなる。
特に女児の成長は早く、綱手はお年頃といった様子で気の強い発言をするがその裏ではどうしたら女らしく見られるのかも考えていた。
「どうしたらもっと色気が出るようになるのかな?やっぱりこの胸かな…」
『大きくなればすぐに成長して色気も出るよ。きっと綱手は美人になるから心配しなくても大丈夫だよ』
綱手は自分の胸を悔しそうに撫でていたがセンリの言葉を聞くと表情を変えた。
「そうかな?」
『もちろん。私が保証するよ!』
センリが親指を上げてにっこりすると綱手も嬉しそうな笑みを浮かべた。
「そしたらあのエロ自来也も見返して…」
綱手はほくそ笑んでいたが、センリは微笑ましくて目を細めた。
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