- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-扉間とイズナ、大蛇の子-


センリはこれまでにも何度かヤヨイや里の女子の要望で変化の術で男に変わり楽しませるという事をしてきたが、今回解術しようとしても何故かそれが出来なくなってしまったのだ。マダラに説明すると呆れられて、扉間なら方法が分かるかもしれないと相談に来たのだ。


『カルマが言うには二、三日で戻るだろうってことなんだけど』


センリはそれ程気にした様子ではなく、むしろ楽観視していたがマダラの方はそうではなかった。
眉を下げながら笑っているセンリを見てマダラは逆に眉を上げた。笑っているはずなのに絵画のような美しさを感じるのはおかしな事だったが、それよりも不満の方が大きく渦巻いていた。


「これから戻るまで男と生活しろというのか?勘弁してくれ」

『ひ、ひどい!見た目は男でも中身は私のままだよ!』


凛々しい姿でも確かに中身はセンリのままの様子を見て、扉間は不謹慎にも笑ってしまった。マダラは気に入らないという表情をした。


「笑っている場合ではない。俺は本気で参っているんだ。何か案はないのか?」


マダラは、扉間がよく忍術の研究をしているのを知っていて相談しに来たのだが、生憎扉間にも心当たりはない。


「力になれなくて悪いが、オレにも解術方法はわからん。それにまず変化の術が解けなくなる事などあるのか?」

『私の変化はちょっと普通のと違ってね。この姿ももし私が男の子として生まれていたら…ってなっていた時の姿なんだ。多分カルマがいう時空だとか時間だとかが関係しているんだろうけど…。その要領でいくとね、』


センリは扉間に説明をした後隣に立つマダラの肩に左手を置いて右手で印を結んだ。ポワン、という少々間抜けな音が聞こえて白い煙が舞ったかと思うと次の瞬間そこにいたのはマダラの格好をした女だった。


『ちなみにこれはマダラが女の子だったらこうなるよって事』


マダラは今や完全に男ではなく、センリを見上げて今にも怒り出しそうな顔をした気の強そうな女の姿だった。体格や目の下の皺でマダラだとは分かるがそれにしては余りに凶悪さがない。


「おい、センリ。俺まで戻らなくなったらどうするんだ」


その声もいつものように低く響く声ではなく、中性的なアルトの音だ。しかし中身が男のマダラのままでは色気の欠けらも無い。


『…よく考えたらこれで過ごせば男同士にはならないよね』

「そういう事ではない!」

『ええーっ、でもマダラ、すごく可愛いよ!とっても美人。私が男の人だったら連れて歩いて自慢したくなっちゃうな』

「なっ――――何を言う、からかって遊ぶな」

『あ、せっかくだしこの姿でデートしようよ!新鮮で楽しいと思うよ』

「俺の話を聞け!」


見た目が逆転してしまってはいるものの、そのやり取りはいつものセンリとマダラを思い浮かばせるものでやはり扉間は可笑しくなった。


「まあ…不死鳥が数日で戻るというのなら我慢してそれで過ごしたらどうだ?いくら変化で化けているとはいえ、中身はセンリのままだろう。問題ないはずだ」


笑いそうになる口元を押さえながら扉間が言うと女の姿から戻ったマダラがじとっと睨み付ける。
先程のように性別が逆転していたとしても中々に絵になるので、それで良いのではないかと扉間は思ったが、本当にへそを曲げている様子のマダラを見て言葉を押しとどめた。

マダラはもう一度よく考えてはみたが扉間が方法が分からないというならそうする他ないだろうと結論を出した。


「…しかし、センリは男だとしても美しいな」


扉間はまじまじと男の姿のセンリを見てみたが、どれだけ観察しても美麗さが崩れない。確かにこれなら里の女が夢中にもなるだろうなと頷いてしまうくらいだった。


『だよね!女の子もかっこいいってすごい褒めてくれるから、調子にのってたら戻らなくなっちゃったんだよね』


あははと軽やかな笑い声をあげて笑うセンリは男の姿だと一層柱間に似通っている気がした。


『それにこっちの姿だとチャクラ使わなくてもすごい力持ちだからね!ねえ、マダラ?』

「そりゃそうだろう。“男”なのだから」


嫌味っぽく言い放つマダラは目の前のセンリの能天気さに呆れ返っているようだった。


『ミトのところに行って驚かせてこようかな!』


ミトのところに行く気満々のセンリを見てマダラは何度目か分からないため息を吐いた。この場に弟がいなくて良かったと少々思っていた。センリが好きなイズナは、男になった姿など見たら絶望するかもしれないと考えてマダラは火影室を出ていくセンリの後を追った。
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