- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-木ノ葉警務部隊設立-


里の治安の件でセンリは思いついた事があり、マダラと共に扉間の元を訪れていた。


『…それでね。里内を警備して取り締まる忍の係をつくればいいんじゃないかと思ってね。警察みたいな』

「なるほどな。最近の里の治安の悪化にはオレも手を焼いていたからな……その考えはいいかもしれんな」


扉間もセンリと同意見のようで頷きながらセンリの話を聞いていた。


「里の警務部隊、といったところか…」


扉間が呟くように言ってじっと空中を見つめた。
イズナは火影椅子に座る扉間を横目で見ていたが特に口出しはしなかった。


「それなら早急に警務部隊用の建物を建てるよう大工に依頼を出そう。…それにそうなると捕まった者を入れる牢獄も必要になるか…」


よく頭の回る扉間は警務部隊が捉えた罪人を戒める為の牢が必要だと考えて提案した。


「警務部隊に入れる忍の選定も重要だぞ。弱い忍の言う事など、特に酔っ払いは聞きそうにないからな。それに忍同士の喧嘩や騒動も度々起きている。優れた忍術を扱え、それを止められる抑止力があるかも肝要だぞ」


センリを見つめながらマダラが言ってため息を吐く。


「確かにそれらは重要事項だ。治安維持をする為には相応の対応力と罪人を威圧できる実力を兼ね備えた者でなければいかんからな…」


そこで扉間は再び考えるように空中に視線をさ迷わせた後、マダラの顔を見た。


「うちはの者にその役職についてもらう、というのはどうだ?」

その言葉にはイズナも反応した。マダラの方も少し考えた後悪くは無いと思って僅かに首を振った。


「うちは一族の実力は里内の人間の殆どが知っている。うちはの名を出せば震え上がる者もいるくらいだからな。それにその瞳術があれば、いざという時にもすぐに罪人を捉える事が出来るだろう。惨事を起こす前に物事を処理するのが一番いいからな」


うちは一族は戦争で大いに活躍し、以前から恐れられていた一族の為、里でその名を知らぬ者はいなかった。扉間はうちは一族の写輪眼を里の為に活用できればと考えたが、センリは少々首を傾げた。


『でもそれだとうちはの人達は絶対警務部隊に入らなきゃいけない、みたいにならない?括りをつくっちゃうとその人がしたい事が出来なくなっちゃうかもしれないし』


センリの意見にも一理あったマダラはどちらにもつかず腕を組んで考えていた。

すると今まで黙っていたイズナが口を開いた。


「なら警務部隊にはうちはの忍と他の名の知れてる一族の忍を優先的に配属させて、これから先その部隊長はうちはの人間に任せるってのはどう?」

『なるほどね!部隊長は代々うちはの人に任せるって事か。いいんじゃない?』


イズナの提案にはセンリも賛成した。里の治安を守る部隊にうちはの人間が携わるのは色々な意味でプラスになる。


「確かにそれなら里の人間から舐められる事もないだろうからな」

「兄さん、恐れられてるもんね」


少々怒っているような様子のマダラを見て、イズナが囁くように言った。マダラはイズナの楽しげな微笑みを見て、小さくため息を吐いた。


「笑い事じゃないぞ、イズナ。お前だってセンリが絡まれる事に腹を立てていたろう」


兄弟の会話に目を瞬かせていた扉間は、そういう事かと納得した。少し兄をからかってやろうと思っていたが、マダラの言葉には確かに、とイズナも同調していた。


「姉さんはホント目立つからな。変なのが寄ってくるんだよ…。鬱陶しい酔っ払いとか、あわよくばと思ってる、男の風上にも置けないような下衆野郎とか――――」


イズナの、あまりにも酷い言い草に、扉間は苦笑した。当の本人はあまり気にしていなさそうに笑みを浮かべている。


「それは確かに、困った事だな」

扉間がイズナとマダラに同情するように頷く。



『でも私は強いよ?』

「そういう事じゃないんだよ姉さん。姉さんはもう少し危機感を持たなきゃダメだ。じゃないと兄さんがいつか人殺しで捕まってしまうよ」

『ええっ!?さすがにマダラはそんな事で殺さないよ!』


イズナは真面目にセンリに言い聞かせた。しかしいくらマダラであろうとそんな事はしないとセンリは信用しない。



「いや、そんな事はない。姉さんは兄さんを甘く見すぎだ。ねえ、兄さん」

「そうだ。お前に触れた人間は、一匹残らず殺す。それも一番苦痛の伴う方法でな」

『怖っ!写輪眼になってるよ!?冗談でしょ?怖いよ!』

「なら姉さん、夜道には本当に気を付けるんだよ」

『わ、分かった。気を付けます…!』


阿吽の呼吸の兄弟と、素直で従順過ぎるセンリに、扉間は笑いを零した。ただもう少し危機感を持って欲しいという二人の思いには少し賛成だった。



「重大な事件に発展する前に用心しておくのは大切な事だ」

『確かにそうだよね。イエッサー!二代目火影!』


敬礼をするセンリを見てイズナはどこか満足そうだった。


「ならば、警務部隊のシステムについては先程の案に決定しよう。うちはの中で誰か部隊長に推薦出来る者はいるか?……――」
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