- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-二代目火影-


皆が会議室を出て行ったが、イズナはその場に残っていた。センリに事情を聞く為だ。マダラと扉間もその場に残り、最後の一人が出て行くとイズナがセンリに近寄った。


「姉さん、何でボクを」

いかにも不機嫌丸出しでイズナは詰め寄る。


『側近にはヒルゼンをすすめようかとも思ったんだけど、彼はまだ忍として色々な任務についてみたいって言っててね。それにやっぱりうちはの人は里にとってもすごく重要な存在だと思うの。私を置いてくれた恩抜きにしてもね。それで今の里の人達が認めるような人って言ったらイズナだから』


センリはイズナに穏やかに言い聞かせた。
その様子を黙って見ていたが、扉間もうちは一族に関しての意見はセンリに賛同していた。

強い実力と瞳力を兼ね備えているうちは一族は里にとってもかなり重要な存在である事は確かだった。特に戦国時代を生き抜いてきたうちはの忍は殆どが強力な力を持ち、それと同じくらい強い意思を持っている。戦いとなれば冷徹といえるまでに豹変する者も多くいるうちは一族は少し間違えば里にとっての脅威にもなる。

しかしそうならなかったのは、うちはの中でも屈指の実力を誇っていたマダラが火影を支えていたからだ。柱間の意見に賛同し、里の為に働いているからこそ戦国時代をマダラと共に生き抜いてきた忍達はそれに従っていた。

うちはの忍が火影の近くにいるというのはセンリの言う通り非常に意味のある事だった。


「……お前はそれでいいのか」


イズナはセンリには何を言っても無駄だと諦めて視線を扉間に移し睨み付けるように見た。扉間にとっても自分の存在は到底許せるものではないのではないかと思っていたが扉間は静かに首を縦に振った。


「オレはそれで構わん」


予想外の答えにイズナは動揺し、助けを求めるように兄を見た。


「…お前が嫌なら断るのも有りだ」


マダラはどっち付かずと言った様子でイズナに選択肢を与えた。イズナはセンリと扉間とマダラとを一回ずつ見て最後にまたセンリを見つめた。

センリは何も言わずにその目を見返した。普段はマダラより穏やかな黒い瞳が、爛々と光っている。


「………分かったよ。連携がとれなくても知らないからな」


イズナの言葉を聞くとセンリは途端ににっこりした。

イズナも正直なところ今では以前より扉間に対しての憎しみは抱いてはいなかった。しかしそれでも自分を死に追いやった相手に代わりはない。それに扉間だって自分を恨んでいるような奴を側近にするなんてすぐに嫌になって外すだろうとイズナは考えていた。


「それじゃあどうぞよろしく、二代目火影」


イズナは通り過ぎざまに扉間の前に立ち止まり、少し嫌味っぽく言い放って部屋を出て行った。
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