- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-二代目火影-


里では大事な事を決めなければならなかった。

次の里長だ。
いつまでも火影がいない状態で過ごす訳にはいかない。なるべく速やかに次の火影を決めなければならない。

マダラも扉間もその重要さを分かっていて、数日もすれば悲しみから立ち上がり、しっかりとこの先の里の事を考えていた。


一族の当主や手練の何人かの忍達を集め、二代目火影を決める会議が行われた。


「次の火影は必然的にマダラ様か扉間様でしょう」

サスケが最初に意見を言うと二十名あまりの忍達が小さく頷き合った。すると日向一族の長が軽く手を挙げた。


「センリ様ではダメなのですか?」


皆の顔が一斉にセンリに向けられた。センリが何年も生きている事はこの場にいる誰もが知っていたし、センリの強さも知っていた。確かに、と誰かが呟いた。しかしセンリは困ったように笑って首を横に振った。


『私じゃ意味が無いんだよ。ありがたいけれど、私は火影にはならない』


その言葉の意味が分かったのはマダラだけだったが、珍しくきっぱりとしたセンリの口調に日向の忍は口を噤んだ。

それでも次に火影になるのは柱間の側近だったマダラか、弟だった扉間かという事だけは皆の意見としては同じようだったが、問題はどちらにするかだ。

センリは囁き合う忍び達を見ながら考えていた。


『(みんなの支持の割合で言えば、本当に二人は五分五分なんだよな……マダラでも扉間くんでも、どちらにしても柱間の意思を継げるだろうって事はみんな分かってる。多分どちらがなってもいいって人が大半だろうけど………でも、マダラはこれから先も何年も生きると思うし…うん、やっぱり……)』


センリは少し前から考えていた事があり、マダラと扉間を見た。


『私は扉間くんがいいと思う』


また皆が一斉にセンリに注目した。扉間が少し意外そうな目をセンリに向け、マダラもその言葉を静かに聞いていた。


『それで私に考えがあるんだけど、マダラと私は相談役って事でどうかな?』


語らずともセンリは自分がこの先も生きる事を考えそれを踏まえての相談役という立場にしたいのだとマダラには分かったし、正直柱間の様子を近くで見てきて火影というものは自分の性分には合わないだろうなと確信していたので、扉間が次期火影になる事には賛成だった。

皆は一度それぞれ考えたが、その二人で火影と相談役をやるならばどちらがやろうとも確かにいい案に思えた。皆が往々納得した様子を見てセンリは続けた。


『そうだ、それから火影の側近にはイズナをすすめたいな』


この言葉には誰よりもイズナと扉間が驚いた。イズナが眉を寄せて不可解な表情でこちらを見ているのが分かった。マダラも何を言っているんだと言いたげにセンリを見る。


「なるほど、柱間様の時もマダラ様が側近を務めていましたし……千手とうちはのコンビなら確かに他里からも舐められたりはしないでしょうな」


三人の深い関係性を知らない他の一族の長達は、口々に賛成した。
マダラが柱間の側近になってからは、ヒカクとイズナとが互いに一族の上に立ち纏めてきた事は他の者達も知っていた。それに学校の教師としてもかなり優秀だというのは通う生徒の親ならば誰でも知っていた。戦国時代を知っている者達は勿体ないとも噂しているくらいだった。

マダラをはじめヒカクやうちはの忍達が里に貢献した事も分かっていたし、実質現状でうちは一族のトップにいるイズナならと皆納得した様子だった。


「ちょっと待って、何でボクが」


イズナは一人納得がいかないようにセンリを問いただす。センリはイズナと扉間との確執を知っているはずだ。何故、という疑問がイズナと扉間と、それからマダラの頭にあった。


『お願い、イズナ』


センリは真剣な眼差しでイズナを見つめた。

イズナの眉間には深くシワが刻まれていたが、周りを見渡してみても皆が自分に期待を込めて見つめている。


「……分かった」


イズナはとりあえずこの場を切り抜けようと小さく頷いた。

皆はこれで安心だと頷き合って会議は割と滞ること無く速やかに終わった。
[ 136/230 ]

[← ] [ →]

back