- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-命を懸けた火影、残された側近-


その後センリはミトに寄り添い、扉間と共に柱間の葬儀についてを決めた。

綱手には浅葱が説明するだろうとは分かっていたが、里の他の忍達も殆ど柱間の死を知っているようだった。他の忍達の顔を見ればそれはすぐに分かった。



夕方には明日の葬儀の事をすべて取り決め、センリは自宅に帰ってきていた。

マダラは恐らく家にいるだろうと予想はしていたが、鍵が空いていたのでやはり予想は当たっていたようだ。

脱ぎ捨てられたマダラの忍靴を揃えてセンリはその姿を探した。


居間に行けばマダラはソファーの上で横になっていた。センリはそっと近付き、夕日に照らされているその顔を見る。気配に気付かないようで余程深く寝入っているようだった。


『(寝ずに帰ってきたからな……)』


今まで里の外で任務についていて、昨日の夜はまるまる走り続けていたのでさすがに眠かったのだろう。

センリは顔にかかった長い前髪をそっと退かした。


『(目元、赤くなってる…)』


閉じられた瞼の辺りは微かに赤く腫れ、それが夕日の光のせいではない事くらいセンリには理解出来た。

センリはそっと赤くなった目元に触れた。温かな温度を、指先に感じた。


センリはしばらくマダラの側に膝をついていたがやはり自分にも眠気が襲ってきて目を擦りながら立ち上がった。膝掛けをマダラの体に被せてセンリは風呂へと向かった。


熱い湯を頭から浴びているとそれとは裏腹に昂った感情がどんどんと冷えていって、柱間が死んだという事実が静かに受け止められるくらいには冷静になれた。


『(…柱間)』


シャワーを頭から浴びながらセンリはその名を頭の中で呼んだ。思い出が次々と頭に流れ込んできて何故か懐かしくなった。

柱間が残した思い出はこれからもきっと自分からなくなることはない。


『(大丈夫)』


センリは自分に言い聞かせて、僅かに唇を上げた。
[ 132/230 ]

[← ] [ →]

back