- ナノ -


木ノ葉隠れ創設編

-命を懸けた火影、残された側近-


「センリ様、マダラ様!」


太陽が高く登っていく頃には木ノ葉隠れの正門に到着し、一旦息をつくと門で待機していたらしい忍が二人に気付き声をかけてきた。


「柱間は帰ってきているか?」


マダラが問い掛けると、忍は微かに目を見開いた後小さく頷いた。しかしその表情はまるで暗く、よく見れば瞳が赤く濡れていた。光っていたのは太陽の光のせいだけではない気がした。


「木ノ葉病院に…」

それを聞くとマダラはセンリを振り返った。
この時心臓の辺りが変にざわついたのはマダラもセンリも同じだった。


『マダラ、行こう』


何時間も走り続けていたがそれを聞くと勝手に足が踏み出していた。早く早く、という焦る気持ちを何とか押さえ込んで二人は病院に向かった。


『珍しいね、柱間が』


怪我なんて、と続けようとしてセンリは言葉を止めた。マダラは何も言わずにセンリに追い付き、少しだけ視線をやった。

本当はもう分かっていたのかもしれない。

胸の奥の嫌なざわつきが何なのかを。



十分しないうちに病院に辿り着き、患者に迷惑にならないように辺りを見回す。


「センリ様、マダラ様」


サスケが二人を見付けて足早に駆け寄ってきた。


「…こちらです」


一瞬二人に意味有りげな視線を向けたかと思うとサスケは背を向けて歩き出した。

二人は何も言わずにその背中を追いかけた。


ロビーで診察を待っている患者達の声が妙に遠くから聞こえていた。
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