「名前、動いても、いいか」


何度か口付けを落とされた後、マダラの擦れた声が名前の耳元で聞こえた。マダラにしては珍しい、切羽詰まったような声音だった。

そうか、マダラは動きたいのか。
切なそうに聞こえてきたマダラの声に名前は理解してうん、と頷いた。


名前に覆い被さったまま、マダラは奥まで差し込まれていた陰茎をゆっくりと引き抜く。濡れているとはいえ、初めての経験でただでさえいっぱいいっぱいの膣内の壁が、引き攣れるように引っ張られた。


『んうっ』


途中まで引き抜かれて、再び押し込まれる。圧迫感と鈍痛が交互に現れた。苦しそうな名前の声は分かっていたが、マダラの方も精一杯だった。

初めの方こそゆるゆるとした抽挿だったが、名前の膣の感触と耳元で鳴るその吐息混じりの声に、だんだんと昂りきったマダラの中の理性がぼろぼろと崩れていく。


マダラが緩やかに抽挿を繰り返していると、徐々に名前の中に湿り気を感じるようになり、膣内の感触が直に分かるようになった。

名前の膣は普通のそれよりも中の襞が多いようで、それがまるで蠢いているように陰茎に吸い付いてくる。入れただけでも絶頂を迎えそうなくらい、魅惑的で卑猥だった。

名前は大きく肩で息を吐いて整えていたが、マダラには止まっていられる余裕がなかった。


「はっ、…」


ぬるぬると内壁を、緩急付けて擦っていく、そそり立つ陰茎。まだ狭く、締めつける膣内を、陰茎をゆっくり挿入しては引き抜く。襞を蠢かせ、マダラのそれをより奥へと誘うように、名前の膣は陰茎を呑み込んで離さなかった。

それはもちろん名前の意思によるものではなかったが、ぐにぐにと動いて自分を離さない膣の熱さに、マダラが必死に堪えていた息が漏れる。


「っ、」


どこか苦しそうな、しかし耐えきれずに漏れたため息のような、マダラの吐息が聞こえてきて、名前の熱い腹の奥が疼いた。


『はあっ、あっ、ま、だら、』


名前は律動に合わせて息をするので精一杯だった。感じたことの無い太く硬い何かが、中でどのように動いているのかなんて考えている余裕もなかった。速くはない速度だったが、熱い、マダラの陰茎が中を擦る度に、名前は荒い息を吐いた。


自分をくわえ込んで離そうとしない名前の膣内が信じられない程気持ち良くて、マダラは快楽で蕩けてしまいそうになった。次第に結合部からぐちぐちと淫猥な水音が聞こえてきて、それがまたマダラの欲を駆り立てる。


「くっ、……はぁ、」


マダラは絶え間なく自分の肉棒を襲う、濡れた熱い快楽に顔を歪める。名前の肩の横あたりに手を付いて上半身を少し起こす。

マダラの気配が遠のくのを感じ名前は微かに目を開けた。
仄かな月明かりがマダラの上半身を照らしていた。何かに堪えるように眉を寄せ、聞いた事も無い色気を含んだ吐息を零すマダラ。初めて見る、切なげに歪んだ余裕のないマダラのその表情が、名前の奥をきゅうきゅうと反応させた。


「はっ………名前っ…」


下唇を噛み締めるようにして口を噤んで、快感に目を細め、熱のこもった艶やかな吐息を吐いて感じ入っているマダラの表情は、名前の中の愛液をより溢れさせた。それによって名前を貫いている陰茎が突き立てている泥濘がもっと熱く濡れ、絡みついた。


『あっ、はあっ、まだらっ』


名前の中の羞恥心はどこかに忘れ去られたようで、マダラの吐息を聞いているだけで、奥で男の根が暴れる痛みでさえも甘美に感じた。名前は置き場のない手でシーツの布を強く握った。


「っ……っ、名前、あまり締め付ける、な」


きゅううと収縮する度に絶頂の波がマダラに襲いかかる。それを何とか押し込め、膣内に挿入されていた陰茎がより膣内を犯す。僅かに最奥の壁に当たると、名前の背がのけ反った。それが子宮の入口だということは名前には分からなかったが、お腹の奥が押される圧迫感のような、何とも言えない感覚に勝手に口から声が漏れていく。


『あ、ぁ、ぁ、』


響く淫らな水音の合間に聞こえる、甲高い吐息混じりの声が、あの名前の口から発せられているとは思えなかった。聞くだけで男を絶頂へ導くような、甘く蠱惑的で、鼓膜に直接響いてくるような音。

その音の出処をたどると、涙をほろほろと流してシーツを力の限り握り締めて律動に耐える名前の淫らな顔。その表情を見ても分かったが、何より膣の中の感触が変わって、ただきつく締付けていた壁が今やぬちぬちと絡み付き、愛液が止めどなく溢れて来ている。名前の体全てが自分を欲しているようで、マダラはたまらなくなった。


「はっ、……かわいい、俺の、名前ッ……俺、だけの…っ」


掠れた声でただ自分を求めている愛しい人に声を返したいのに、名前は何も言葉に出来なくて、マダラの名前を呼ぶ事しか出来なかった。



『あ、ぁ、はぁ、まだら、』



太股の後ろ側辺りに当たるマダラの両の鎖骨が少し汗ばんでいた。もっとマダラの体温を近くで感じたくて名前は手を伸ばし、マダラはその手を取って再び体を倒す。自分よりずっと小さくて、細くて、柔らかい名前の体を壊してしまわないよう加減しながらも、心の中の欲望がもっともっとと名前を欲していた。


体ごと揺さぶられるような感覚。最奥を突く硬く熱いもの。見たことのないマダラの表情。そして耐えるような声が顔の横で響く。

そのすべてが名前の頭の中を制して、何が何だかわからない。マダラの分厚くて硬い胸板に擦られている自分の胸の先端に感じる感覚も快感に変わった。


『んあっ、あっ、まだら、まだらぁっ…!』


痺れるような感覚に突然恐怖を怯えて、愛しい人の名前を呼ぶ。

哀願するような名前の声に気付き、マダラはその唇に荒々しく口付けた。アルコールの味と荒い呼吸が名前をより高みに近づける。口の中ではマダラの舌に絡め取られ、膣内では深々と陰茎が突き刺さり、名前の感覚がおかしくなっていく。

マダラも体のほとんどの力を名前に預け、肌の大部分が擦れ合う。開かれた名前の口の間から喘ぎ声が絶え間なく聞こえる。


『ぁ、あっ、はぁ、んんっ…!』


膣の奥、お腹のさらに奥辺りを少し下から突くように抽挿すると、名前の口から一際甲高い喘ぎが零れた。その動きが変わらないよう、そこに亀頭を擦り付けるようにすると、名前の膣内がひくついた。
しきりに摩擦を繰り返す腟内で、接合部分から止めどなく溢れ出る愛液の音が、耳に響く程の激しいものになる。


「はっ……はぁ…名前っ…!」


がつがつと腰を打ち付けられる痛みさえ快感に変わってくる程の衝撃が、名前の体に走る。痛みだけの感覚ではなくなってくるのを名前は思考の片隅で感じ、無意識に腰を引こうとしたがマダラの右手がそれを押さえ膣内のさらにさらに奥へと陰茎を突き立てる。

左手は名前の右手にきつく握られ、再奥に亀頭が当たると、吸い付くように名前の襞が蠢く。



「名前、愛してるっ……は、…誰よりも……!全部……全部、俺の…っ」


律動を止めどなく繰り返し、名前の耳元で掠れた声で囁きながら、マダラは絶頂が近いことを感じた。硬く太い陰茎が最奥を執拗に突き立てると名前は先程感じた不安に襲われ、咄嗟にマダラの首に手を回す。


『んっ、ああっ、わ、わたしっ……もっ…!』


うまく言葉を紡ぐ事の出来ない名前の拙い声がマダラの耳を掠める。

マダラを彩る全てのものがいとおしく感じて名前はたまらなくなった。



『す、きっ…ん、ああっ、まだらぁ…!だい、すき……!』


溜息のような嬌声。その言葉を聞いたマダラの陰茎はさらに質量を増し、名前の膣内をぐちゃぐちゃに掻き乱した。

肌と肌が触れ合う音と淫猥な水音が、耳の奥まで犯す。薄暗い部屋のはずなのに、明るく、歪んで見えた。

摩擦の感覚がだんだんと痺れてきて、名前の膣内が収縮するのが分かった。


『あっ、あっ、マダラっ…!もっ、も、ぅ、だめ…!』


再びの快楽だけの波が徐々に名前に近付いていた。もはや快感だか痛感だかは分からなかったが、自分の中がびくびくとひくついている事は分かった。


「くっ、…俺、も、もう、出る、っ……名前、…中に……お前の、中にっ…」


掻き荒らす陰茎がずぶずぶと奥へと奥へと貫き、マダラの背筋が震える。同時に名前の中もさらに熱くなりきゅうきゅうと締め付ける。陰茎が膨張の乏しを見せたと思うと、今までで一番強い感覚が二人を襲った。


『い、ああぁっ…!』

「は、あっ、!……」


大きな快感が二人を包み、名前の膣内が先程のように収縮するのと、陰茎が欲を放つのはほぼ同時だった。

名前の中を埋め尽くす陰茎をびくびくと震わせながら、マダラは精を全てその奥に放った。同じように名前の中が深く痙攣する。

一瞬呼吸がしづらくなり、吐精が終わるのと同時にマダラは一気に空気を吸い込んだ。そして体の力が抜け、ぐったりと名前の体に身を預ける。

絶頂の余韻で少し痙攣する名前の右手を握り締めて、耳元で荒く息を吐きながらマダラ自身も呼吸を整えた。その間にも名前の中は小刻みにひくついていた。お互いにはあはあという息遣いをしていたがマダラの方が幾分早く元の呼吸を取り戻した。

同じように一気に力が抜けてしまっている名前の首筋に口付けるとその体が息を吹き返したように動いた。


『んん……まだら…だいすき……』


名前の小さく呟いた声が未だに熱く滾っている体中に響く。小さく、掠れた声で、名前は愛おしそうにマダラの名前を呼んだ。


「俺もだ」


同じ思いを返しながら、マダラは名前の体をぎゅう、と抱き締めた。名前の何もかもが、本当に愛おしかった。

[ 7/8 ]

[← ] [ →]

back