放心状態で荒い呼吸をただ繰り返す名前を見て、マダラの我慢も限界に近かった。


『はあ……はあっ………あっ、』


何とか息を整えようとしている、くたりと四肢の力が抜けた名前のそこから、ふやけきった中指を抜くと名前の中がまたぴくぴくと震えた。

力が抜けきってぼーっと自分を見上げる名前から抜いた濡れた指を、マダラはそのまま口に含む。やはり甘かった。

その仕草を見て、収まってきた名前の頬が再び熱くなる。


「最初とは思えない程上手く気をやれたな」


うるうると濡れた大きな瞳を歪めている名前にマダラはちゅっと口付ける。

名前の中はまだ小さく波打っていたが、マダラの声をしっかりと感じ取れるくらいには平静が戻ってきた。名前は徐々に自我を取り戻し、ぼーっと状況を確認した。自分の目に映るのは裸の自分と、未だに洋服を着たままのマダラ。無性に恥ずかしくなった。


『わ、わたし、ばっかり、』


初めての事で訳が分からないくらい乱れていた自分とは裏腹にマダラは余裕そうな笑みを浮かべている。慣れた手つきのマダラはこういった事が初めてでは無いのだろうとは分かっていたが、こうも自分だけ余裕が無いと少し悔しくもなる。

自分が知らないうちにあの幼かったマダラでは無くなってしまっていた事が、ほんの少しだけ悔しかった。


「そんな事はない。俺だって好きな女を抱くのは初めてだからな。余裕なんて、ない」


初めて。
その言葉が嬉しく、こそばゆかった。

しかし未だに信用していないようにじっと見つめる名前を見て、マダラはその手を取り、自らの下半身に当てがった。名前は驚いたようにびくつき、固まった。マダラの其処ははち切れんばかりに硬くなり、服の上からでもわかるくらい熱かった。もちろん男の陰茎になど触れた事の無い名前は目を見開き、少し間抜けな顔でマダラを見上げる。


「これを抑えるのは骨が折れる」


マダラの瞳は切なそうに細められ、その奥に自分を求める男の欲望がぎらついていた。名前は両手を動かし、マダラの頬に触れ、微かに顔にかかった前髪を耳の裏に戻す。


「名前、俺ももう、限界だ」


愛おしそうに自分を見る名前の姿が更に体を熱くして、急くようにマダラは自身の腰帯を解き始めた。名前は咄嗟に顔を手で覆った。服が擦れ合う音が聞こえる。

しばらくするとマダラが隣から移動して自分の足を割って入ったことに気付く。指の隙間から見ると一糸纏わぬマダラの姿。鍛え抜かれた無駄のない体をまじまじと見てしまい羞恥心が名前に戻ってきた。あまり見ると余計に緊張してしまう気がして名前はマダラの顔に目を向けた。


「名前、いいか…?」


マダラが名前に最後の確認をする。覆いかぶさるマダラに恥ずかしがりながらも薄く微笑みかけて、名前は頷く。


『うん……ちゃんと、マダラを感じたい…私も、マダラの全部、知りたい……』


不思議と、最初の方に感じた恐怖が無くなっていた。今目の前にいるのは唯一の愛しい人。見た事の無い男の体と情欲的な眼を見て、少しの不安が生まれたのは確かだったが、それ以上にもっともっとマダラを知りたかった。

その気持ちが抑えられずその体に手を伸ばすと、マダラはその手をそっと握ってくれた。



「痛むようだったら我慢せずに言え。爪を立てたって構わない」


マダラは名前の美しい髪を引き攣らせないよう注意しながら顔辺りに手を付いて体を倒し、余裕がないながらも気遣って、名前の両手を自分の背中に導いた。

名前はマダラの長い髪の間に手を入れ、その屈強な背中に手を回す。自分よりも遥かに大きくしっかりとした背中にしがみつくと、途端に安心感に包まれた。

屹立としたそれを名前の濡れきった膣口に宛てがう。名前はマダラの背に伸ばした手にキュッと力を入れて目を閉じる。肌と肌が触れ合うのが心地いいのに、血走る陰茎が名前の桃色の陰唇をかき分ける様は、まさしく純潔を穢す事を意味していた。


「力、抜いてろ…」


名前の中は熱く蕩けきっていたが、やはり男の陰茎を容易く受け入れられる程のものではなかった。明らかに狭い腟内にゆっくりと先端を突き立てると名前の口から悲痛な息があがる。


『ふ、ぅうっ……!!』


明らかに苦痛の吐息が名前の口から漏れ出る。狭いところに無理矢理押し入る感覚は、痛みを通り越して熱さを感じる程だ。指とは明らかに違う質量に、不自然に力が入ってしまう。

名前は痛みにどうにかして耐えようとマダラの背中を持つ手にぐっと力を入れた。背中に感じる痛みと名前の苦痛の声に、マダラは一度動きを止め、顔を上げて名前に口付けた。



「名前、力を抜け……ゆっくり息をしろ」


マダラは手の平で名前の頭を撫でる。名前は滴る程涙を目に溜めて、ふうふうと小刻みに呼吸をしていた。亀頭の部分は名前の中に埋もれていたが、そこに感じる狭い圧迫感と熱さは確かに名前の純潔を意味していた。


『んっ、ん、』


そこに腰を押し進めたい欲をマダラは何とか抑え、名前の緊張を解す為に口付けを繰り返した。そうすると名前の中のきつさが少しずつ少しずつ、ほぐされていく。

ぎゅうぎゅうと陰茎を締め付ける中を、時間を掛けてゆっくりと押し進む。入れ込む程にきつい、ぬめる肉襞が陰茎にみっちりと吸い付いてくる。


『く、ぅ……はっ、は、』


マダラが腰を進める度に中の痛みが増して行く。痛くて、どうしたらいいか分からなくて、名前の目から涙が次々と零れ落ちた。短い呼吸と、辛そうな表情にマダラが気付き、問いかける。


「名前…今日は止めておくか?」


今までに見たことが無いくらい辛そうに顔を歪める名前を見ていると、素直に欲に従えば早く繋がりたいのに、マダラの心はちくちくと痛んだ。気付けば、唇を噛み締める名前へ無意識に言葉が零れる。しかし、名前はいやいやをするように首を横に振った。


『や、やだ………!ちゃんと、ちゃんと最後まで、マダラを受け入れたいっ……』


名前から、意地にも似たマダラに対する気持ちが溢れた。ハッキリ言えば辛いし痛い。だがここで止めたくなかった。苦痛よりもマダラと一つになりたいという切実が名前の心の中で勝っていた。

『やめないで』と小さく呟けば、マダラの目がそれに応えるように優しく、どこか困った様に歪められる。


「本当に、かわいい奴だな………分かった。ゆっくり、な。ゆっくり、息を吸え……」


名前の痛みもさる事ながら、マダラの陰茎を締め付ける力も、ぎちぎちと痛みを感じる程だ。マダラの言う通りに名前はすーっと長く息を吸って、吐く。


「そう、上手だ…」


頭を撫でるマダラの手の温もりと、優しい声とを、名前は身体のすぐ近くで感じた。愛おしいその存在を側に感じる事が出来た。爪を立ててしまっている背中が痛い筈なのに自分を労わって出来る限りゆっくり時間をかけてくれるマダラが心から愛おしかった。


名前の呼吸が徐々に整ってきたところで、口付けて舌を入れれば名前の意識が唇に集中し、微弱ながら締め付けが解かれる。マダラはそれを見逃さずに腟内へと陰茎を突き立てた。ぐぷ、と水音がして、とうとう名前の中はマダラの陰茎を全て呑み込んだ。


『はぁっ…』


痛みに耐え切った名前は大きく息を吸いこんだ。マダラのそれに、明らかに引っかかる何かの感覚があったが、出血はなかった。しかしそれでも名前の中は信じられないほど熱く、狭かった。腟の中はきゅうきゅうとマダラの陰茎を締め付けぐにぐにと蠢いた。


「名前っ……全部、入った、ぞ」


「頑張ったな」、そう言ってマダラが名前を見やると、名前の苦痛の表情が和らいだ。

名前は背中に回していた両手をマダラの頬に移動させる。


『ね…これで、マダラと一つに、なれたよね。痛いけど…凄く、しあわせ』


名前の腹の中は内側から押されるような圧迫感もあったし、入口の辺りに鈍痛もあった。だが何よりもマダラを体いっぱいに感じられて、何とも言えない幸福感が名前を包んでいた。体の中も、頭の中も、マダラでいっぱいだった。

健気に呟く声と涙を流して微笑む表情に、愛おしさが込み上げてマダラは名前の柔らかい胸が押しつぶされない程度に体をぴったりと付けた。体も、心も、繋がっている気がした。


「ああ…これでお前の純潔も、心も、体も…俺のものだ」


マダラは顔を横に向けて、名前の耳の上辺りに口付ける。正直、誰かと体を繋げる事にこんなにも幸せに満ちた気分を抱いた事は無かった。ただ、己の中の欲望を放つだけの行為だと思っていた。名前に対する感情をどうすることも出来なくて、ただただ他の誰かにぶつけていた。思えば自分はずっと名前を思ってそうしていたのかとふと頭の片隅で考えた。

こんなにも幸せな気持ちになるなら、もっと早くに名前に全てを伝えておけばよかったと頭の中では思っていたが今、長年の願いが叶って名前の中に自分の欲が突き入れられているという現実に、マダラの体は正直に反応していた。

[ 6/8 ]

[← ] [ →]

back