-再びの不死鳥-
『…………!』
センリはまるで飛び起きるように目を覚ました。自分を呼ばれたような気がして、すぐに周りを見回す。
『カ、カルマ!』
目の前にいたのは少年のカルマだ。何年も見ていないが、忘れるはずもない。
『…ってことはここはカルマの?』
センリがグルッと視界を一回転する。カルマは座ったまま深く頷いた。
「察しが良いな。御主の思う通り、ここは我の空間だ」
センリはカルマをじっと見た。
『カルマの空間にいるってことは……まさかまた私、消えたの?』
また現実の世界で突然消えたかと思うとセンリは血の気が引いた。慌て出すセンリをカルマは手で制する。
「大丈夫だ。今回は消えていない」
それを聞いてセンリは一瞬目をパチくりさせて、それから安心したようにふう、と息を吐いた。
「しかし、御主の体は眠ったままだ」
『?……どういうこと?』
カルマが神妙に言うので、センリは身を乗り出してカルマに問いかける。
「この状態こそ、我が前に言った力が不安定な状態だ。御主は力を使い過ぎたようだ。その為に我の力が御主と上手く重ならなくなり、そのせいで“眠気”を引き起こしていた」
センリはこの五年間、戦場で戦いそして皆の怪我の治療もするという事を日々続けてきた。自分の力とカルマの力、それが今上手く交わらなくなってしまっていた。
『力を使い過ぎた…』
センリが呟くと、カルマの幼い表情が少し顰められた。
「そうだ。カグヤの呪いが我らにかかっている以上これまで通りに事を進めていけば、いつか永遠に目を覚ます事はなくなってしまう」
カルマの言葉に、センリが驚愕する。
「大丈夫だ。今回はそれを防ぐ為に我が強制的に御主を眠らせたに過ぎん。我もこの封印の状態に上手く馴染めていなかったのでな……遅くとも三年、四年もすれば眠っている御主の体も目を覚ます」
センリはカルマの言葉に一旦胸をなで下ろしたが、再び驚いたようにカルマを見る。
『さ、三、四年…!?』
カルマは簡単に言ったが三年という月日は普通の人間に取ればわりと長い年月だ。
「…そんなに驚くことではなかろう。御主は千年も消えていた時があったのだから」
カルマは事も無げにそう言った。
『うう……マダラたちが心配』
センリはガックリと肩を落とす。戦も一族もマダラとイズナの事も……心配事が一気に押し寄せてきた。
「久々に御主に会ったのでこちらも話すことがある」
カルマがいつものゆっくりとした口調でセンリに言う。そういえばセンリも疑問に思っていたことが沢山あったのを思い出す。
センリは正座をしてカルマに向き直る。
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