-恋慕-



一月末まで激しい戦いは続いたが、二月に入るとまただんだんと回数が少なくなってきた。


『今日はイズナの誕生日だからお祝いじゃー!』


二月十日になるとセンリは張り切ってイズナの好物を作る。


「もう一年経ったのか」

マダラがイズナの反対側に座りながらしみじみと言う。兄弟で過ごした日々はセンリが共にいた時間よりも長い。何か思うことがあるのだろう。


『早いねえ!』

センリはイズナの好物の温かいうどんを並べながら言う。
イズナの誕生日はいつも寒いので温かいうどんは身に沁みる。


「どんどん姉さんの外見より歳を取っていくな………そういえば姉さんってその、見た目の年齢はいくつなの?」


イズナが突然センリの顔をまじまじと見て不思議そうに訪ねる。

『えっ、えっとね……二十五で止まってるよ!』


センリはここではない世界で一度二十五で死んでいる。その時にカルマと出会ったので、センリの見た目の年齢はずっと二十五歳のままとなる。


「そうだったの?今のボクと同じくらいだと思ってた……センリ姉さんちょっと童顔だね」


イズナが少し驚いてセンリを見る。マダラも同じことを思いながらセンリを見ていた。
確かにセンリは美人だったが、美女というよりは美少女と言ってもおかしくない。


『えーっ、それはイズナもでしょう?マダラと並ぶと随分かわいく見えるよ!』


センリは真面目にそう言うのでイズナはつい笑いを零す。


「おいコラ。俺が老けてると言いたいのか?」


マダラが眉間にシワを寄せてそう言う。


『んん……どちらかと言うと老けてるのは私なんだけど…』


イズナはうどんを食べている間始終クスクス笑っていた。
イズナは三人で祝う誕生日がとても好きだった。自分の産まれたあとすぐは母が死んだ日だ。母を知らずに育ったイズナだったが、今はそれ以上の大切なものを知れた気がしていた。


その日の夜は、三人同じ部屋で川の字になって眠った。いつもは別々に寝ているがセンリが時々一緒に寝たいというのでこの日もそうしていた。三人で寝る日は特別だった。マダラもイズナも、センリが隣にいるというだけで安心して眠ることが出来たのだ。

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