-マダラと柱間、うちはと千手-
目を晦ますほどの光が消え、そこに現れたのは頭上の空を覆う程巨大な白銀の鳥。センリが空を見上げる。
『うそ、カルマ……!』
それはセンリが目覚めてから約六年ぶりに会うカルマだった。
カルマの翼が空を切る音が大きく響く。
「センリ…やっと見つけた」
体の奥に響き心臓を震わすかのようなカルマの声が懐かしく感じた。
カルマの放つ禍々しいともとれるチャクラにマダラたちは驚嘆し、声が出ないようだった。
『カルマっ……よかった、やっと会えた!』
センリはカルマに向かって感動して大声を出す。カルマは川辺に鉤爪を付き、地上に降り立つがその巨大な体は広い河原でもかなり窮屈そうだ。十本の巨大な尾が陽の光でキラキラと光り輝いていた。
大きな翼が空を切った時の風に目を凝らしながらもタジマは異様なその迫力に一歩後退る。
「それはこちらの台詞よ。何年探した事か……」
カルマは黄金の瞳を細め、久々の再会に感極まっていた。センリとカルマの独壇場に他の者達も唖然としている。
「まさか……尾獣の頂点に君臨すると言われる十尾を拝めるとは…これは確かに、他の尾獣とは比べ物にならぬ力だ…」
カルマの力をビリビリと心臓に響く程に感じ、宿敵が目の前にいることを忘れ、仏間が驚嘆して呟く。
「これが……十尾…」
マダラが唾を飲む。重圧のある存在感はその幼い心を畏怖させるには充分だった。
「この我を尾獣と捉えているとはな……本当の十尾も知らぬ、幸福者たちよ。我は神獣と呼ばれる不死鳥、鳳凰であり名を…………イヤ、まあ良い」
カルマは地上にいる七人をそのセンリと同じ黄金に輝く瞳で見下ろす。その圧倒的な威圧感に長くにわたり戦をしてきたタジマと仏間でさえ戦慄するものがあった。
「……!………こんな時に…」
突然カルマが苦しそうな声を出す。センリがその巨大な足元に駆け寄る。
『どうしたの!?』
センリはやっと会えたカルマとまた離れ離れになると思ったら体が勝手に動いていた。
「くっ………忌々しい呪いよ………センリ、また我と力を一つにするのだ…時間が無い」
時間が無い。
前にセンリと離れてしまった時と同じ台詞をカルマが言う。
『わ、分かった…!』
センリは自分の手をカルマへと伸ばす。
その時マダラは何とも言えない感覚に陥った。
「…センリ!」
自分に背を向けるセンリにもう会えないような、そんな予感。
センリがその声に気付きマダラを振り返る。
『……な、なに?』
センリの体からカルマが現れた時のような眩い光が放たれ始める。あまりの眩しさに目を細める。
センリが最後に見たのはこちらに駆け寄ってくるマダラの、今まで見たことのない表情だった。
「センリ…!!!」
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