-マダラと柱間、うちはと千手-



戦争もまた激しさを増して来た頃、センリとマダラはタジマに呼び出され、うちは一族の集会所にいた。
センリは嫌な予感がしたがそれは見事に的中することになる。


「…父さん、話って…」


センリとマダラは集会所に入り戸を閉める。そこには少し怒ったような表情でタジマが立っていた。


「…最近お前たちは一人の少年に会っているな」


ついに密会が露見した。
センリとマダラは目を見合わせる。


『…知ってたの?』


センリが観念したようにタジマに聞く。タジマのその眼は写輪眼。センリには効果が無いとはいえ、嘘を言えばすぐにバレるだろう。


「お前たちの様子を見れば何かがあったことくらいは分かる。センリ…あれほど他者と接触を控えるようにと言っただろう」


タジマは鋭くセンリを見る。


「違うんだ、父さん。俺が無理矢理センリを誘ってたんだ」

マダラ咄嗟にがセンリを庇う。マダラは息子を見下ろす。


「なるほど、そうか。それで二人で敵の情報を聞き出そうとしていたのか」


タジマの表情は堅い。
マダラは驚いたように父を見る。


『敵って……どういう…』

「言葉通りだ。お前たちの会っているあの少年は千手一族の者だ」


マダラが目を見開く。
千手一族はうちは一族と互角に戦える唯一の一族で、うちはの一番の仇だ。


「お前も知っているだろう、マダラ。あの少年は千手の長である男……千手仏間の息子だ」


うちは一族のほとんどは千手一族に殺されている。その一族と会い、友情を深めるなど今は言語道断だ。
マダラはグッと口を結ぶ。マダラは薄々気付いていた。柱間が只者では無いことに。


「そう、うちはは千手に殺られている。その千手の者と会っているなど……これがうちはに知られたらどうなるか分かっているだろう?マダラ」


タジマは見せたことのないような険しい表情でマダラを睨む。マダラは言い返すことが出来なかった。


「正直、お前がそこまで無能だとは思っていなかった」

タジマが冷たくマダラを見下ろした。


『タジマくん、そんな言い方…』

センリが手を広げ、マダラを庇う。


「センリ、そんな事言える立場か?お前はうちは一族を危機に晒した。うちは一族の“もの”であるお前がうちはに仇なす気ではないだろうな?」


センリは黙ってはいなかった。

『…確かに私をここに置いてくれてる事は感謝してる。でも私は私。ものじゃない。子どもたちが純粋な気持ちで友だちと会って何がいけないの?マダラがうちは一族の情報を流すなんて事しないってあなたなら分かるでしょう?』


タジマは言い返してくるセンリを見て眉を寄せる。マダラはセンリの真剣な横顔を見る。
センリはいつでも怖気付いたりしない。しかしこのままではセンリも何か罰を受けるかもしれない。


「(俺は…守るって決めたんだ)」


マダラは心を決めた。


「…分かった。父さん、奴に次に会ったら千手の情報を聞き出してくればいいんだろ」


センリは驚いてマダラを見る。


『マダラ…!』


しかしマダラは考えを変えないようだった。その目は真剣そのものだった。


「…さすが、お前もうちはだな。これは任務だ。私とイズナも同行する」

タジマは満足げに頷いた。センリは悲しそうにマダラを見る。マダラはセンリのためにそれを決めたようなものだ。


「センリ、お前は絶対についてくるな。ここで帰りを待ちなさい」

タジマはそう言って集会所を出て行った。


『マダラ……』

「大丈夫だ。心配すんな」


マダラは笑っていた。マダラも考え無しにそれを提案したわけではなかった。

マダラは柱間と交換した水切りの石を服の中でギュッと握り締めた。

[ 41/125 ]

[← ] [ →]


back