-マダラと柱間、うちはと千手-
「分かった!…ここにオレ達の集落を作ろう!」
柱間が満面の笑みで手を広げる素振りを見せる。
「その集落は子供が殺し合わなくていいようにする!子供がちゃんと強く大きくなるための訓練する学校を作る!個人の能力や力に合わせて任務を選べる!そんでもって……」
柱間は意気揚々とその考えを二人に披露する。その目は希望に満ちていた。
『(柱間……)』
「依頼レベルをちゃんと振り分けられる上役をつくる!子供を激しい戦地へ送ったりしなくていい集落だ!」
柱間の目は本気だった。
「フッ……そんなバカなこと言ってんのお前ぐらいだぞ」
マダラが少し馬鹿にしたように柱間を見る。だがセンリは分かっていた。
『マダラはどうなの?』
センリがマダラに聞くとマダラは視線を崖の向こうに移す。
「ああ……悪くねえ。その集落をつくったら弟を……家族を、一望できるここからしっかり見守ってやる」
そう言うマダラの目にも爛々と決意が揺らめいていた。柱間とマダラは笑い合う。
『よーし、じゃあ私はその二人をさらに上から見守っててやるー!』
センリは左腕にマダラを、右腕に柱間の首をそれぞれ引き寄せる。
「おい、センリ!落ちるだろーが!」
「センリ、子どもをそうやってたぶらかすのは良くないぞ!」
マダラも柱間も、心から笑っていたし、センリは今度こそ信じていた。
『ここに広ーい集落をつくったら、きっと平和になって、色んな出会いで溢れるね!』
「そうだぞ!一族同士の垣根だって超えて、色んな奴と友だちにもなれる!」
センリと柱間はお互いキラキラとした瞳で頷き合っていた。それを見てマダラはやれやれとため息をついている。だがその口元は楽しげだ。
「お前たちは本当に能天気だな……」
『だってだって、そしたらトキメキだって産まれちゃうかもよ!素敵な人と出逢っちゃったりして、カフェなんか出来ちゃったりして、そこでデートなんかしちゃったりして!?』
「デート!?想像しただけでも楽しそうだ!」
『それで素敵な結婚式場なんか出来ちゃったりもして!』
きゃあきゃあ言い合う二人を見てマダラは今度こそ眉を寄せていた。
「センリみてーな奴を嫁に貰う男なんていねェよ」
マダラが険しい顔でそう言うとセンリは大袈裟にガックリした。
『ひどすぎる…なんてひどい子なの……!そんな子に育てた覚えはないわ!』
「そうだぞマダラ!そんな事ないぞ!」
センリは冗談だったが、柱間は真剣そのものの表情で言い返していた。それにもマダラはフンと鼻を鳴らしただけだった。
「まあ……誰も相手にしてくれねーつぅんなら、オレが貰ってやるよ」
センリは一瞬目を瞬かせたが、不機嫌そうに目を合わせないマダラを見て嬉しそうに微笑んだ。
「その必要はないぞ!センリはオレと結婚すればいいぞ!」
相変わらず能天気な柱間が、いい事を思いついたと言わんばかりの口調で横から口を挟む。しかしそれには納得いかないとマダラは柱間を睨んだ。
「テメーはダメだ!」
「エエッ、酷いぞマダラ!なんでお前に許可を貰わなきゃならないんだ!」
「俺はコイツの保護者だからだ」
『さっすがマダラ!……――って、ウソでしょ!?私が保護される方なの!?』
「お前みたいな危なっかしい奴は俺が面倒見てやらねーとすぐ騙されるだろ。柱間もバカだからダメだ」
「そうか……ならいっその事みんなで暮らすか……」
『柱間、それ名案じゃない?』
「死んでも嫌だ………」
三人でいる空間が、とても楽しかった。
この二人ならきっと戦いを終わらせる事ができる。二人なら……―――。センリは今はそのために二人を後押しする事を心に決めた。
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