-マダラと柱間、うちはと千手-
マダラと柱間は会う度に仲良くなり、センリとも絆を深めていった。柱間に会った日のマダラはとても楽しそうで集落に帰ってきてからもずっと上機嫌だった。マダラにとっては初めて出来た友と言える存在だった。そんなマダラを見るのがセンリはとても嬉しかった。
「ここからだと森が一望できるな」
森の中の高い崖の上。そこで三人は腰をおろして景色を見下ろしていた。少し汗の滲んだ体に吹く風が心地いい。
『うん!あんなに先の山まで見えるよ』
「おう。目の良さなら負けねェ自信がある。勝負すっか?」
自信満々なマダラの言葉に柱間が不思議そうな顔をする。
「急になんだぞそれ?やけに目にプライド持ってるな」
「そりゃそうだろ!なにせ俺は写……」
そこまで言ってマダラはハッとして口を噤む。写輪眼といえばうちは一族だということが分かってしまう。
『(マダラ……)』
少し寂しそうなマダラの横顔を見てセンリは思った。はやく忍たちみんなが一族とう枠を超えて笑い合える時が来ればいいと。
「…どした?」
柱間もどうしたのかとマダラの顔を覗き込む。
「…イヤ、そうでもねーなやっぱ…」
「何だぞ?お前にしちゃやけに素直だな」
素直に落ち込むマダラを見て柱間が隣から驚いたように言う。
「ホントに強かったら……」
だったら一族は死んでいない。こんな戦争やっていない。マダラはまだ写輪眼を開眼していなかった。
センリはインドラの赤い瞳を思い出した。力を手に入れる条件が愛の喪失だなんて悲しすぎる。マダラやイズナは早く写輪眼を持ちたいと言っているが、センリは素直に同感することが出来ずにいた。
「マダラは兄弟はいねーのか?」
ふと柱間が尋ねる。
「弟が一人いる。弟は…俺が何があろうと守る!」
マダラの言葉にセンリは少し微笑む。こんなにもマダラはイズナを思っている。センリはそれが何とも言えないくらい嬉しかった。イズナにも聞かせてやりたい。
『じゃあ私はマダラたちを頑張って守るよ』
センリが柱間とマダラにニッコリする。
「センリなんかに守ってもらわなくたって十分俺は強ぇよ。子供扱いすんな!」
柱間は嬉しそうに微笑んだが、マダラは照れたように顔を背ける。センリはその様子を見てふふ、と笑う。
『守る対象は力の強さだけじゃないよ』
センリが言うとマダラは眉間にシワを寄せたが、その言葉に柱間がハッとする。
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