- ナノ -

-マダラと柱間、うちはと千手-



「……でも、具体的にどうやったら変えられるかだぞ。先のビジョンが見えてないと…」

大きな岩の上で竹筒に入った冷たい水を飲んで休憩しながら柱間がどうしたら状況を変えられるか話す。

「まずはこの考えを捨てねェことと、自分に力を付けることだろうが。弱い奴が吠えてもなにも変わらねェ」


マダラも竹筒の水を飲む。

「そだな……とにかく色んな術マスターして強くなれば大人もオレ達の言葉を無視できなくなる……」


柱間も同調して頷く。二人の考えはいつも同じというわけではなかったが、共に同じ夢を見ていた。

「その点ならセンリならすぐどうにかなりそうな気もするけど…」

柱間が尊敬するようにセンリを見ながら、呟く。センリは困ったように笑った。


『うーん。もちろん私も戦争が早くなくなればいいと思ってるよ。でも私一人がどうかしたってまだ何も変わらないと思う。忍の人たちと…これから先を生きる子どもたちが変わらなくちゃ意味は無い。二人ならきっとそれを成し遂げる事ができる気がするんだ。それに……私は、柱間とマダラがこの状況を変えるのが見たいな。それが今の私の夢!』


センリがはにかむ。柱間は目を輝かせながら感激したようにセンリを見る。

センリは心からそう思っていた。また自分が世界を変えられたとしてもその先の未来を行く子どもたちが変わらなければ意味が無い。センリは今度こそインドラとアシュラに見た夢をマダラと柱間に叶えて欲しかった。


「センリ………センリって大人なのにスゲー優しいな…一緒にいられるお前が羨ましいぞ」

柱間はウルウルしながらマダラの事をじとっと見る。マダラは自慢げにフッと笑う。


「フン。お前なんかにゃセンリはやらねーよ!」

マダラは柱間に向かってビシッと言う。センリは少し驚いたようにマダラを見る。


「むっ……そうか分かったぞ。マダラの弱点はセンリぞ!」


今度は柱間がマダラをビシィッと指差し自信満々に言う。

「ハア?何言ってんだ!俺には弱点らしい弱点はねーっつーの」


マダラはそう言って切り立った崖の方に歩いていく。どうやら尿意が限界に来たようだった。
センリと柱間は顔を見合わせて笑い合う。


「………!」

そして悪戯っ子のような笑みのまま、立ち小便をするマダラの背後に立つ。


「ホントに止まるんだ…」


マダラが二人の気配にビクッとして小便を止めると柱間がニヤニヤしながら近づく。


「だから俺の後ろに立つんじゃねー!!センリもその変な笑顔やめろ!!」

マダラがバッと二人を振り返って怒るがセンリも柱間も笑ったままだ。


『そうだよね。マダラの弱点はそれだもんね』

柱間の後ろでクスクス笑いながらセンリが言う。


「二人とも小便したばっかの川に投げ込むぞコラァ!」


マダラは激怒し、崖の下の川を指差す。


『イヤァ!訴えるわよ!』

「汚ったね!そんなの振り回すな!」


マダラが洗ってもいない手を振り回し追い掛けてくるので二人は笑いながら逃げる。

マダラにとっても柱間にとっても三人の時間はとても楽しく、早く過ぎていった。

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