- ナノ -

-マダラと柱間、うちはと千手-



一族の集落に戻ったマダラはその日の事をずっと考えていたようだ。もし柱間がうちは一族と敵対する一族の子どもだったら確実にタジマは許さないだろう。他の一族のみんなだってそうだ。


「(センリ以外の奴には、言えるわけがねェ)」


あの時共に居たのがセンリで良かったと、マダラは心からそう思っていた。センリ以外の大人だと考えるだけでも恐ろしかった。

深くセンリの事を信頼していたマダラは、それだけが安堵に繋がっていた。


マダラは柱間と話した事をなかなか忘れられないようだと、センリは帰宅後のマダラの様子を見て理解していた。センリが二人に共通する何かを感じたように、マダラもまた自分と柱間に、どこか近いものを感じていた。


『また会えるといいね、柱間くんに』


夜、隣の布団でイズナが寝入った夜中に、センリは小声でマダラに言う。タジマは風呂に入っているようなので、誰にも聞かれることはない。

マダラはもうセンリにくっついて寝る事はなくなったが、今でも三人一緒の部屋で寝ている。イズナはまだ時々一緒の布団で寝ることもあったが、それもあと何年かすればなくなるのだろう。


「でも…センリが十尾の人柱力だったとか、うちはの人間じゃねェんだってバレたりしたら…――」

マダラはセンリの正体が知られてしまう事を恐れているようだった。センリはマダラの髪に手を伸ばす。

『大丈夫だよ!柱間くん、すごくいい子みたいだったし、バレたからって私がそう簡単に捕まると思う?』

センリがニヤッとして言う。センリは誰よりも強い事は分かっている。マダラはその言葉に少し安心したようだった。


「分かってると思うが…この事は、他の奴には言わないでおけよ。センリは馬鹿だから、うっかり漏らされたら困る」


ふと、マダラが言った。いつものような、センリによく言い聞かせるような口調だ。ぶっきらぼうだがどこか愛情の込められた、信用の証だ。


『分かってるよ!ほら、今日はもう寝て。また柱間くんと会えるように、河原へ行こう』


母親のように、胸をトントンと叩くセンリを見て、一瞬マダラは何か言いたげに口を開きかけたが、思い直して瞼を閉じた。心臓の鼓動に合わせた、やさしいリズムに身を委ねていると、いつものように安心感だけに包まれていった。



戦が起こる回数は減っては来ていたが、まだ停戦とはならない。タジマの目を盗んでセンリとマダラは川に出掛けた。センリもマダラも、柱間にまた会えることを期待していた。

そしてその機会は、最初に柱間と会ってから約二ヶ月後にやっと訪れる。

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