-僅かな記憶-
「姉さん!■■■姉さん!」
「姉さん大好きだよ」
「今日小学校でね、■■■がね、姉さんのことおかしいってばかにしたの」
「姉さんのことばけものだっていうんだよ。だから砂なげてビンタしてやったんだ!」
「……なんで?だって姉さんのことバカにしたんだよ■■■だって言ったんだよ?なんで■■■が姉さんに怒られるの?」
「…………わかった。あした謝る」
「えらい?」
「■■■、姉さんに褒めてもらうのだいすき。だってね、だってね、なんかココがあったかくなってね、なんか笑っちゃうの!」
「姉さんはやさしいね。なんでいやなこと言われても笑うの?」
「ゆるす…?なんでゆるすの?いやな気持ちになったんだからゆるさなくていいじゃん」
「ゆるすことは大切なことなの?……わかった。じゃあ■■■も姉さんのことゆるす。姉さんがやさしすぎるの、ゆるす」
「なんで姉さんと■■■のお父さんとお母さんは死んじゃったの?」
「そっか。■■■を産んだから死んじゃったんだ」
「ちがうの?」
「■■■を産むために生きたの?どういうこと?」
『母さんはね、どうしても■■■を産みたかったの。父さんもね。ふたりとも治せない病気になっちゃってね。でも■■■を産むために、必死に生きたんだ。■■■はみんなに望まれて生まれて来たんだよ』
「わかった。■■■、父さんと母さんのぶんもいっぱい生きる!ずーっと死なないの!ずーっと姉さんといるの!だって姉さんがいてくれるだけで■■■、すっごいうれしいから!」
「姉さん、だーいすき!」
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