-うちは一族と光の巫女-
二人は一緒の部屋で寝ているというのでそこにもう一つ布団を敷いた。センリの寝る場所だ。タジマが帰ってこないので三人は一緒の部屋で寝ることにしたのだ。
センリはマダラが貸してくれた家にある適当な寝間着を着ている。しかし今日は肌寒い。
『寒いからもっとくっついて寝よう』
三人はお互いの布団を隙間なくつける。イズナは迷うことなくセンリにくっ付く。それは幼い子どもが純粋にぬくもりを求める仕草だった。
『マダラももっとこっちにおいでよ。くっつけばあったかいよ』
センリがマダラの方を向き手招きする。マダラはしばらくして根負けしてもぞもぞとセンリに近寄って行く。
こちらを見て微笑むセンリの顔を見てなぜかマダラは胸が締め付けられた。今まで誰かとこんなふうに一緒に寝たことは無かった。とてもあたたかく、安心する。センリの肩に顔を埋めるととてもいい匂いがした。
イズナの規則正しい寝息が聞こえる。それが余計に眠気を誘う。ふと近くのセンリを見るとすでに目を瞑っていた。マダラは目の前にあるセンリの右手をぎゅっと握ってみた。すべすべで柔らかくて、とてもあったかい。
マダラもいつしか眠りの世界へと誘われていった。
夜中遅くに帰ってきたタジマはその様子を見て思わずふ、と笑いを漏らす。息子たちはまるで母親と眠るただの子どものようだった。
「(もしも本当に光の巫女なら……私達はとてつもない宝を掘り当てたようだな)」
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